GT

ぼっち・ざ・ろっく!のGTのレビュー・感想・評価

ぼっち・ざ・ろっく!(2022年製作のアニメ)
4.8
 主人公「後藤ひとり」をはじめとする女子高生四人組がロックバンド「結束バンド」を結成、ライブしたり海に行ったりと青春を謳歌するアニメ。「けいおん!」に続く女子バンドアニメで放送当時は大好評を博し、社会現象になった。(こんな解説はいらないくらい世間に浸透してると思われる)。
 本作の特徴は何といっても、主人公「後藤ひとり」が友達のいない所謂「ぼっち」であり、人とのコミュニケーションが苦手な「コミュ障」であるという点だ。その挙動不審ぶりはなかなか胴に入っており、アニメキャラにありがちな甲高い声で喋ることはあまりなく、低く暗いトーンで終始話す。「青春コンプレックス」に侵された彼女の思考はかなり拗らせており、彼女の奇行がこのアニメの見どころの一つ。「ひとりちゃんは人間ではない」と言われるほどの過剰なまでの演出(例:イケイケな感じの男に話しかけられて爆発し、ぺらぺらになって空を飛んでいく)が、その面白さに拍車をかけている。
 勿論笑えるだけでなく、バンドアニメとしてしっかりと面白いし、時折普通に熱い。バンド活動を通じて成長していくぼっちちゃん(後藤ひとりのあだ名)はかっこいいし、脇を固めるキャラクターたちも皆魅力的だ。時に面白く、時に可愛らしく、時に暑い彼女たちの姿は涙が出るほどキラキラと眩しい。バンドアニメというだけあって大事なのは曲だが、こちらにも全く手抜かりはない。KANA-BOONのボーカル谷口鮪氏をはじめとする豪華な作曲陣を用意。ボーカルを努める喜多郁代の声優、長谷川郁美さんの美声も相まって、素晴らしい出来に仕上がっている。
 尤も「ぼっちがロックをする作品」としてこのアニメを捉える場合、どうしても物足りなさを感じてしまうのは事実。ぼっちちゃんは正直普通に可愛いうえ動画サイトで登録者が何万人もいる、いわば「有能側」の人間であるため、何も持たないものが捨て身でロックをやる泥臭いアニメと思って見ると痛い目を喰らう(って、こんな期待をしてこのアニメを見る人はいないだろうけど…)。今後「グミチョコレートパイン」のような、本当にどん底のぼっちがロックをやるアニメが出ないかなぁと、仄かに期待をする私であった。
GT

GT