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偽物語のGTのレビュー・感想・評価

偽物語(2012年製作のアニメ)
4.0
 「化物語」の続編。主人公「阿良々木暦」の妹である火憐と月火(「化物語」では次回予告以外ほぼ出番がなかったキャラクター)を主軸に据えている。
 物語シリーズ特有の奇抜な演出は、本作でも遺憾無く発揮されている。暦の後輩である神原駿河の家はなぜか真っ赤な本が大量に溢れ、それがベルトコンベアーで運ばれたりあり得ない積まれ方をしたりしている。原作だと「散らかっている」としか表現されていなかったそれを、どう考えたらこれになるのか不思議ですらある。或いは例えば、阿良々木家のまるで宮殿のような洒落たデザイン。特に風呂場が圧巻だ。他にも鉛筆を果てしなく積み上げたりあり得ない量の道路標識だったり、そのシュールな演出群は素晴らしい。
 前作と比べると日常パートが多く、キャラとキャラとの掛け合いが多い印象。こうした掛け合いの最中は例の演出がふんだんに用いられ、それはそれで嬉しいのだが、なにぶん前作同様会話の内容が如何にもなラノベという感じがあり、ちょっとノリがキツイ。加えて今作は、やけにエロティックなシーンが強調されている。それを象徴するのが第8話で、暦が妹である火憐の歯を磨き、磨かれている火憐が悶絶するシーンが何分間も続く(放送当時、かなり物議を醸していた記憶がある)。前作ではアクセントとして個人的には許容できたそれだが、今作はあまりにそれが多様され過ぎていて、ちょっと下品というか嫌な感じがしてしまうのは否めない。
 ふざけたシーンは徹底してふざけるが、シリアスなシーンはきっちりきめてくれるから嬉しい。シリアスシーンの掛け合いは、西尾維新のセンスが炸裂している。特に新キャラである貝木泥舟とのやりとりは、中二心を否応なくくすぐられる。思春期の少年が見たら、間違いなく影響されるだろうな、という感じだ。
 
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