このアニメは基本的に、「アイドルマスターシンデレラガールズ」というコンテンツを知っている人のための作品だ。「シンデレラガールズが好きだ」特に本作品に出てくるアイドルたちの中に「推し」がいる、という方にとってはこれ以上無いほどの作品だろう。作画は非常に気合が入っており、アイドルたちの愛らしさに関しては完全に保証ができる。アイドルといえば歌とダンスだが、振り付けや音楽含めて非常に上質だ。ボイスの付いていなかった古賀小春に声だけでなくソロ曲すらついていたり、結城晴と的場理沙のソロ曲が発表されたり(この曲も素晴らしい)、既存曲ではあるが他のアイドルが歌っている音源が公開されたりと、ファンサービスにも手抜かりがない。
では「アイドルマスターシンデレラガールズ」を知らない人が見た場合どうかというと、一言で言うならこれは「無菌室」だ。ストーリーを盛り上げる場合、そこにはどうしても対立や障害といった、謂わば「毒」がなければいけない。アニメ「アイドルマスターシンデレラガールズ」では三城常務という鉄壁のような障害、そしてアイドル同士の対立や葛藤といった「毒」がかなりたくさん含まれていた。こうした展開に関して、賛否両論はあったものの、少なくとも物語にメリハリはあり、退屈することはなかった。だがこの作品では、こうした障害や対立はほぼない。あったとしても非常に小さく、それはまるでオママゴトのように緊張感がない。確かに主役は皆子供だ。だがだからといって、その葛藤や対立まで子供レベルでは、見る方にとっては甚だ退屈してしまう。
最後にこのアニメでは、「キラキラ」や「夢」といったワードが頻出する。これは「U149」だけじゃなく「シンデレラ」全体(ひょっとしたら「アイマス」全体かもしれない)で頻出のワードなのだが、このワードはかなり薄っぺらく聞こえてしまう。作中ではこうしたワードを「大人の事情」と対立させ、さらにゴリ押しして「大人の事情」を捩じ伏せているような雰囲気があるが、正直現実はそんなに単純ではない。最終回ではその「夢」の勝利によって多くの大人たちが大慌てになっているシーンがあるが、それを手放しで喜ぶのは違うだろうという気がする。色々な人に迷惑がかかっているのだし。
おそらく最後の感じからして、2期はあると思われるが、2期ではもっと「綺麗事じゃない」部分も見せてくれたらなと思う。