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シュタインズ・ゲート ゼロのウシュアイアのレビュー・感想・評価

シュタインズ・ゲート ゼロ(2018年製作のアニメ)
3.6
主人公の岡部倫太郎(オカリン)は仲間とともに偶然作り出してしまった過去にメールを送れる装置とタイムリープマシーンによってヒロインの一人が死亡する未来が確定した時間軸(α世界線)上でタイムリープを繰り返し、ヒロインの一人を救うことに成功したのが第1シーズンの23話の途中までの話。第1シーズンは24話でそのままもう一人のヒロインを救ってハッピーエンドだが、本作第2シーズンは23話の途中で分岐してもう一方のヒロインの死を回避することをあきらめてしまった時間軸(β世界線)上でのお話。

観ればすぐわかることなのでネタバレにはならないと思うが、第1シーズン24話にたどり着かないといけないので、β世界線上でタイムリープもしくはタイムトラベルを行い、シーズン2のストーリーにつながる分岐点である23話に干渉することになるということは分かるだろう。したがって、本作の位置づけは第1シーズン23話の途中の裏話ということになる。

ところが、間違いなく実行されるはずのタイムリープもしくはタイムトラベルがなかなか実行されず、登場人物たちが葛藤を繰り広げる。しかも、β世界線には死亡したヒロインの主人公と出会う前の記憶が「アマデウス」と呼ばれるAIに組み込まれ、主人公が「アマデウス」と接点をもつことになり葛藤を深くしている。

本作では、その時間軸で起きたことをなかったことにするという過去の改変という行為は人間の想いを踏みにじる行為であるため、もしそれが可能だとしても厳に慎むべき(あの時ああすればよかった、なんて不可能だとしても思ってはいけない)、という倫理観を強く訴えており、そのために主人公たちを深く葛藤させているのだろう。作者の意図は分からなくもないが、主人公の葛藤の人間ドラマに2クールの半分以上を使ってしまっており、冗長になってしまっていた。実際1クール12話で十分だったと思う。また、アキバ系文化は好き嫌い分かれるが、鳳凰院凶真やまゆしぃの「トゥットゥルー」などは鳴りを潜めていたので、暗く陰鬱な空気感が強かった。

しかしながらタイムリープやタイムトラベルの実行段階までくると予想を斜め上をいく展開で、シナリオは見事とというしかない。
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