kkkのk太郎

大奥のkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

大奥(2023年製作のアニメ)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

男女の立場が逆転した架空の江戸時代、女人禁制の「大奥」に渦巻く愛憎を描き出したSF時代劇アニメ。

Filmarksさんのオンライン試写会に当選したため、一足早く鑑賞させていただきました!Filmarksさん、ありがとうございます♪

このオンライン試写会で鑑賞出来たのは1〜3話。全話視聴してからレビューを書き込むのがスジだとは思うのですが、レビューを投稿することが試写会参加の条件なので、とりあえず3話までの感想を書いていきたいと思います。

原作はよしながふみによる同名漫画。2004年から連載が開始され、2021年に堂々の完結。
国内外で高く評価され、幾度も映画化/ドラマ化されている有名作品ですが、アニメ化は今回が初のようですね。

ちなみに私は原作未読、映像化作品も全く観たことがありません。
大奥という組織についてもほとんど無知。ただ一つ触れている大奥ものは山村東先生の漫画「猫奥」。大奥に住む猫🐈について描かれた漫画なのですがこれがなかなか面白く、そろそろ実写化するんじゃないかとそわそわしています…が、今は関係ないですね。「猫奥」は江戸時代末期の大奥が舞台でこのアニメとは時代がズレてるし。

というわけで、全く知識がない状態での鑑賞となりました。
正直鑑賞前は「男女逆転大奥って…。エロアニメかよ笑笑」なんて若干バカにしていたのですが、いざ観てみるとこれがなかなかに面白いしよく出来ている!!

「男子のみが発病する流行病」により男子の数が激減してしまった上、時の将軍三代家光公までもが正統な世継ぎを残すことなく亡くなってしまうという非常事態。
泰平の世が築かれてまだ30年、今徳川家の地盤が揺らぐようなことがあれば、再び戦国の世へと逆戻りしてしまう。それを憂いた家光の乳母、春日局がどのように立ち回ったのか、そこがこのアニメの見どころ。

女がイニシアチブを握らざるを得ない状況下において国を維持する最善策は何か、それを真摯に考えた結果、男の園である「大奥」が出来上がったというこの歴史的必然性。この理由付けが上手いっ!!
そして、男の数が減ったということで世の理がどう変化してしまったのか、その描き方もリアリティ十分。
事前に想像していたただのハーレムアニメではなく、IF歴史ものの面白さを追求したかなり知的な作品で、正直驚きました。よしながふみ先生って頭良いなぁ…。

第1話で描かれるのは八代将軍吉宗公の世、そこから時代を遡り、第2話/第3話では大奥の成り立ちである三代将軍家光公の世が描かれます。
1話の中心人物は貧乏旗本の倅、水野祐之進。彼が大奥へと奉公に上がるところから物語が始まるので、てっきり彼が大奥を上り詰める作品なのだと勘違い。まぁそういうミスリードを誘う作りになっていたから、そう思ってしまうのも無理はないんですが、主人公かと思わせた人物を第1話で退場させ、そこから徳川家に視点を移すという構成はなかなかにユニーク。

この第1話で描かれた吉宗公の大岡裁きが、あまりにもコテコテの人情時代劇だったので、正直「うーーんこういうタイプのアニメかぁ😥」と思い、ゲンナリしてしまったのだが(しかも無駄に長い。70分以上ある)、春日局がそのクソババァっぷりを発揮する第2話からは作品のトーンが変わってグッと面白くなる。1話切りしては勿体ないアニメであることは強く言っておきたい。

た・だ。
物語は確かに面白いんだけど、これ原作のお話が面白いということであって、このアニメの出来が特別良い、ということではない。
声優陣の演技は素晴らしいし、窪田等さんのナレーションも最高。
ただ、主要キャラを演じている梶裕貴や宮野真守の声を聞くと、「またこの人たちか…」と思ってしまうのもまた事実。声優って20人くらいしかいないんじゃないの?ってぐらいおんなじ人ばっかり起用するの、一体何故なんだろうね…?

特に気になるのは作画の悪さ。
Netflixの作品なので資金は潤沢にあるはずなのだが、アニメーションのクオリティが低い。引きの画だと人物の顔がへにゃへにゃになるし、キャラの動きもぎこちない。
特に、せっかくの見せ場であるチャンバラシーンに全く精気を感じないのは問題。時代劇なんだからさぁ、そこに力を入れないでどこに入れるのよ!?『るろうに剣心』の剣心vs斎藤一戦を100回見直せっ😡
まぁ激怒するほどクオリティが低いって訳じゃないんだけど、これなら原作漫画を読んだ方が多分満足度は高いだろう。

とまぁちょっと辛口になったけど、普通に楽しかったし続きが気になる!
名作と名高い原作漫画、ちょっと欲しくなりました♪
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