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Kizazi Moto:ジェネレーション・ファイア fromアフリカのkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

アフリカに伝わる神話や伝承をSFとして再解釈した、全10話から成る短編アニメアンソロジー。

『ブラックパンサー』(2018)を思わせる、アフリカ×近未来という世界観。
こういうジャンルを「アフロ・フューチャリズム」または「アフリカン・フューチャリズム」と言うらしいが、本作はモロにこの類型に沿った作品である。

ストーリーが繋がっている訳では無く、アートスタイルもまるでバラバラだが、同じモチーフやテーマを扱っているアニメを集合させることで統一感を生み出す。
本作がNetflix配信のアニメ『ラブ、デス&ロボット』(2019-)から影響を受けていることは明らかである。
構造だけでなくオープニングの感じまで似せて作っており、そこはもう少しボカせよ…と思わないこともない。

『ラブ、デス』はタイトルの通り性や死、そしてSFをテーマにした作品を集めたアニメアンソロジーであるが、実際はその縛りから外れた作品も多く、少々纏まりに欠ける感じがあった。
その点本作はアフリカ×神話×SFという枠がしっかりと守られており、全体の統一感は強い。10個の小さな物語の集合体が、大きな1つの物語として機能している。
ただ、定型にハマりすぎているが故に個々の物語が似通ってしまっており、観進めていくうちにだんだんと新鮮味が失われていくのもまた事実。もう少し自由度があっても良かったのかも。

またここはディズニー制作の弊害なのだろうが、バイオレンスであったりグロテスクであったりする物語は皆無。そして全てがハッピーエンドで終わる。
せっかく神話×SFという刺激的な題材を扱っているのに、良い子ちゃんな物語ばかりなのはなんとも勿体無い。
もっと露悪的で救いようのない残酷な作品も観てみたかった。

アニメーションのクオリティは流石と言うべきかめちゃくちゃ高く、2D、3D、ストップモーションなど、そのスタイルは千差万別。同じ2Dアニメでも、カートゥーン調のものもあれば日本アニメっぽいものもある。とにかく様々なアニメーションを観ることが出来るので、アニメに興味がある人には是非鑑賞していただきたい。

アフリカの神話や宗教というまったく馴染みのないものが扱われているので、正直何が言いたいのかよくわからないエピソードもあった。鑑賞後に自分で調べてみるという作業も必要かも。
少々飲み込み辛いところもあるが、アフリカ濃度はとっても高い作品である。アニメファンで無くても、アフロ・フューチャリズムに浸りたい人ならば観て損はないだろう。
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