このレビューはネタバレを含みます
愛、死、ロボットを題材とした短編アンソロジーアニメーション『ラブ、デス&ロボット』のシーズン3。
怪物に襲われる船員たちの極限の心理を描いた『最悪な航海』や、恐ろしい声を持つ魔女と聾唖の騎士を待ち受ける運命を描いた『彼女の声』など、9つのストーリーが新たに語られる。
製作総指揮はデヴィッド・フィンチャー。『最悪な航海』の監督も務めている。
フォトリアルなCG作品から、ミニチュア撮影風の作品、カートゥーン調の作品まで、今回もユニークなアートデザインで楽しませてくれる。……が、各エピソードの内容に関して言えば、既視感のあるものが多い。『巣』とか『地下に眠りしもの』とか、なんかこんなん前にも観たような気が…。
宇宙SFとかアメリカ軍vsモンスターとかはもうお腹いっぱい。コンセプトは崩壊するかもしれないが、ラブ、デス&ロボットに縛られない自由な発想で、多様な物語を紡いでいって欲しい。
今シーズンのベスト・エピソードは監督:デヴィッド・フィンチャー×脚色:アンドリュー・ケヴィン・ウォーカーという『セブン』(1995)コンビが揃った『最悪な航海』!…と言いたいところだけど、ちょっと『彼女の声』が凄すぎた。信じられないハイクオリティで創造されたこの残酷だが美しい寓話は、間違いなく全シーズン中でもベストの、出色の出来映えである。
このエピソードの監督は『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)のアート・ディレクターも務めたアルベルト・ミエルゴ。他のクリエイターとはレベルが違う、本物の天才である彼が今後どんな作品を生み出してくれるのか、今から楽しみでならない。
というわけで、『彼女の声』が強すぎて他のエピソードの印象が全てぶっ飛んでしまったシーズン3。おそらくは今後もこのシリーズは続いていくのだろうが、これを超えるものを作るのは難しいだろう。ここで完結させてしまうのも一つの手だと思うのだが…。