kkkのk太郎

名探偵ホームズのkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

名探偵ホームズ(1984年製作のアニメ)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

1887年に小説家アーサー・コナン・ドイルの手により誕生した名探偵、シャーロック・ホームズをテレビアニメ化。
相棒ワトソンと共に、宿敵モリアーティ一味とドタバタアクションを繰り広げる。

第3〜5話、第9〜11話には『ルパン三世 カリオストロの城』『風の谷のナウシカ』の、後に日本アニメ界のレジェンドとなる宮崎駿が参加している(第3話、第5話、第9話、第11話は監督としてクレジットされているが、第4話と第10話は監督としてクレジットされていない。宮崎さんは絵コンテ/演出としてのみクレジットされているが、この2話も絶対に宮さんが監督してると思う)。

イタリアの公共放送局「RAI(Radiotelevisione Italiana)」が、日本のアニメ制作会社「東京ムービー」に下請けを出したことにより誕生した日伊合作アニメ。

全キャラクターが犬という、ケモナー歓喜の作品。
シャーロック・ホームズを題材にしておきながら、殺人のような物騒な事件は起きない。極めて牧歌的かつ子供向けなアニメである。

モリアーティ教授が悪さをする→ホームズが推理をする→レストレード警部がモリアーティを追いかけるもギリギリで逃げられる、というのが毎回のパターン。
正直、物語のバリエーションが乏しいので26話も観ていると流石に飽きる。
モリアーティとレストレードの関係なんかを見るに『ルパン三世』を踏襲しているのは明らかだが、『ルパン』ほどの面白さは正直言って無い。

とはいえ、宮崎駿が制作している計6話はどれも一級品。
近藤喜文や友永和秀、田中敦子、二木真希子など、後にジブリの中心的存在となる天才アニメーターたちがその手腕を存分に発揮しており、作画のレベルはとてもテレビアニメとは思えない。完全に劇場版クオリティである。
さらに、脚本には後に『この世界の片隅に』の監督となる片渕須直が参加している点も見逃せない。
ジブリ誕生前夜の雰囲気が味わえるという点でも、アニメファンなら本作を観賞する価値は大いにあるし、ジブリファンならマストで観賞しなくてはならない。
この6話分だけ、一枚のDVDに纏めて販売したら結構売れるんじゃないかしら?

声優陣はまさにレジェンド✨
野沢雅子さんや堀川りょうさん、難波圭一さん、速水奨さん、田中真弓さん、永井一郎さん、納谷六郎さん、神谷明さんetc…。
超実力派の方々がゲストキャラクターの声を当てているので、とにかく声を聞いているだけで楽しくなってくる♪

そしてなんと言っても広川太一郎さんと富田耕生さん、大塚周夫さん、麻上洋子(一龍斎春水)さん、飯塚昭三さんといったレギュラー陣の演技合戦が最高に楽しい!
特に、あまりアニメでは聞くことのできない広川太一郎さんのお声を存分に味わう事が出来るってだけで、もうルンルンの上行くデンデンって感じじゃあないの。
めっちゃ渋い声なのにお茶目。棒読みっぽくも聞こえるのに自然。
天才の仕事っていうのはこういうことをいうんでしょうねぇ…。

フォーク・グループの「ダ・カーポ」が歌うオープニング&エンディングも最高。
特にエンディングの「テームズ河のDANCE」が好きすぎて、全く飛ばすことができなかった。

イタリア側との連携が上手くいかず、一度はお蔵入りしてしまったという因縁の作品だが、こうして世に出て来てくれて本当によかった☺️

※オリジナル・アイデアとしてクレジットされている「マルコ・パゴット」という名前…。ジブリ・ファンならニヤァ〜と出来ちゃいます。
『紅の豚』の主人公ポルコ・ロッソの本名として、このお方のお名前を拝借しているのですよね〜。
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