いつの間にか登録されている。
　女児に人気だった『ちいさなプリンセスソフィア』のスピンオフ的なアニメ。同作と比べて街中でグッズをあまり見かけないので人気ないのかなと思っていたが、何だかんだ３シーズンまで作られた。
　
　もともと『ソフィア』のあるエピソードで、ソフィアのペンダントに40年封印された王女エレナを救い出し、魔女シュリキに支配されたアバローという国を解放するという話がある（このエピソード「ソフィアのペンダント」はなぜかFilmarksの映画カテゴリに登録されていたので、以前ここに本作のレビューを書いた）。
　シュリキにより両親（国王と王妃）を殺されていたエレナだったが、従兄弟のエステバンは大臣として従うことで生き長らえ、また祖父母と妹イザベルは魔法で絵の中に閉じ込められていた。
　
　で本作はみんながめでたく解放された後で、10代後半のお姉さん主人公エレナが女王として成長していく物語になっている。この各エピソードが何らかの教育含意（大抵は「集団の中での振る舞いについて。特にリーダーとして」）をもっているわけだが、お話自体も楽しめるように上手くつくられている。毎話入る歌は、後半になるほどジャンルもさまざまで良曲揃い。
　本作の舞台はラテンアメリカをモデルにしており、日本でも『リメンバー・ミー』で認知されるようになった死者の日をはじめ、当地の文化をフィーチャーしていて楽しい。魔物や妖精もネイティブアメリカンの神話から持ってきている。ケツァルコアトルももちろん登場する。

■プリンセスからクイーンへ
　本作が興味深いのは、主人公のエレナがプリンセスというよりも女王見習いという位置づけにあることだ。クイーンしてのヒロインは、映画だと当時の『アナ雪』や『モアナ』で登場しており、不思議と足並みを揃えている。また、同じくディズニーのカートゥーンである『スター・バタフライ』も、主人公ではないものの女王として政治を行うという側面が強調されていた。
　そしてエルサやモアナと同様に（続編でどうなるかは不明だが）、恋愛パートナーが不在であるとともに、超がつく行動派・武闘派ヒロインである点も共通点として挙げられる。
　中盤のクライマックスは魔女シュリキからの玉座防衛戦になるが、驚くべきことに最終的にエレナは意志をもってシュリキを殺害する。これは、ディズニーのヒロインとしてはおそらくムーラン以来である。ディズニーは、人間のヴィランに死という結末を与えるときは、たいてい自滅・事故で片付けてきた。