ウシュアイア

モブサイコ100 IIのウシュアイアのレビュー・感想・評価

モブサイコ100 II(2019年製作のアニメ)
4.4
超能力をもち、何かの感情が100%に達するとさらに超人的な戦闘能力を発揮する、普段は地味でコミュニケーションが苦手な中学2年生の「モブ」こと影山茂夫が巻き起こす異能バトルコメディ作品の第2シリーズ。

第一シリーズは、主要キャラのエクボ、テル、律にそれぞれにフォーカスしたエピソードから超能力者による世界征服を目論むテロ組織「爪」第7支部との戦いでまとめられた。

続く本シリーズは、モブこと茂夫の成長と師匠の霊幻新隆にまつわる1,2話完結のエピソードが続き、「爪」本体の戦いで締められる。

終盤の戦いの映像は作画カロリーが高く見ごたえはあるものの、やはりコメディがメインなので、モブと霊幻の事件簿の方が面白い。

霊幻新隆は本作の狂言回しで『ゲゲゲの鬼太郎』でいうねずみ男ともいうべきポジションで、詐欺師でいいようにモブを利用しているだけのようだったが、話が進んでいくうちに霊幻の言動はリアリズムに裏打ちされた処世術として説得力をもち始めてくる。そしてこの霊幻役はやはり櫻井孝宏さんしかできないと思えるほど絶妙な演技だった。櫻井孝宏さんは数々の作品で名演を披露しているが、一つ選ぶとしたら霊幻だと思う。

主人公が陰キャだけど隠れイケメンで、超能力の行使を通じて自分の個性として自己肯定感を高めていく話だったら、ありがちな凡作になっていたことを考えると、本作の冴えないキャラデザや霊幻の存在がいかに重要かわかることだろう。
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