都部

Lupin/ルパン パート1の都部のレビュー・感想・評価

Lupin/ルパン パート1(2021年製作のドラマ)
3.8
人種の平等性を比較的獲得した現代において、しかし未だに残る偏見意識を隙として語り部がシニカルに出し抜きながら、社会的に蔑ろにされた過去を良しとせずに高所得な権威者に紳士的に逆襲していくという筋書きは実に痛快で中々面白いドラマ。

アルセーヌ・ルパンの物語を踏襲した各話の泥棒技巧の数々は視聴者をも華麗に騙し、人が人を欺く際に生まれる背徳的な悦びを全5話という話数構成の中で、非常に澱みなく語っていくスマートさにも惚れ惚れとさせられる。本作は二部構成なので、物語はPart2に引き続くのだが安定した満足感のあるドラマであることに疑いの余地はない。

語り部:アサン・ディオプの魅力的な人間像とその過去の描写構成も考えられており、重い題材でありながら軽妙な語り口を損なわない物語の妙は彼のキャラクター性に基づくものである。

時折挟まれる人種のブラックジョークは面白味のスパイスとして機能しており、2話の囚人との下りは杜撰すぎて笑ってしまったけれど、その背景にあるのは有色人種の不当な収監率の高さにあるわけで、こうした人種に纏わる問題をサラリと扱いながらも華麗なる復讐劇として澱みなく呑み込ませる脚本の完成度には感心させられた。

パリを舞台とした物語として、ロケーションが持つ画としての強さを度々見せてくるのも憎いし、Netflix配信ドラマの中でも上澄みの完成度であるのはたしかだろう。Part2に続く。
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