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エンジェルフライト 国際霊柩送還士の都部のレビュー・感想・評価

3.5
話題作ということで鑑賞──恥ずかしながら国際霊柩送還士という職種を寡聞にして知らなかったので内容自体は興味深く、ご遺体の御色直しを請け負う仕事/遺体関連の問題に対処するという、実話を元にしたこれらの展開は面白かった。

何度目のサバサバ系バリキャリアを演じる米倉涼子を主導として語られる死に関与する物語は等しく劇的であり、エピソード毎に尺以上の濃密さを覚える内容が続くため視聴者の感性に訴えかけうる満足度は確保されてる。それらを通した感動的な要素自体が悪いわけではないが、とはいえ1話あたりの感動の積載量はやや過剰に感じる回もあり、『ここで泣け』と言わんばかりの単調さを覚える劇伴の安直な扱い方は回を追うごとにマンネリを迎えていく部分は否めない。

かように感じるのはご遺体のお色直しを経ることで物語その物の後味が等しく綺麗事になるという点で、表面的なプロットの変化は当然見られるが物語としては同じ味となっているし、案件によりけりの後味の幅広いバラエティ性をドラマとして確保出来ているとは言い難いからというのもある。

また米倉涼子演じる伊沢のキャラクターの二面性の妙は他者の台詞として語られるばかりで見せ方に芸がなく、序盤は題材に則さない/物語の姿形を理解した後はプロ意識という点で序盤〜中盤の挙動に問題を感じる立ち回りが見られるのが気になった点である。

(古沢良太脚本の妙が活きていると感じる社会批判性を帯びた3.4話のエピソードが好み)

しかしAmazonオリジナルドラマとしての予算の使い方は正しく、各国に出向く形でご遺体の後始末を請け負う仕事の重大性/そしてその大変さはよく伝わるそれだったとは思う。

個人的に損壊の激しい遺体が作中で描写されるというから気構えてた部分はあったのだが、思ったより綺麗なご遺体ばかりだったのが強いて言えば拍子抜けだった(腐敗した遺体とかそういえば扱わなかったな)。
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