都部

このサイテーな世界の終わり シーズン1の都部のレビュー・感想・評価

4.1
人生の序盤に位置する青年期をしくじってしまった人間達によるダウナーな青春劇として非常に好みの雰囲気で、次第に混沌に陥っていく思惑違いの二人の逃避行を、テンポとセンスの良い筆致で物語ることに成功している。イギリス製作ドラマならではの会話の掛け合いの妙も存分に果たされており、不器用な対話劇としても面白かった。

時々のブラックコメディ然としたユーモアの差し込み方も本作の欠かせない魅力だが、人生に達観してしまった二人が内省的にお互いの問題を晒すことで、擦れ違い傷つけ合い、結果として社会的なグルーミングを執り行うことで互いに互いの存在に癒ゆを見いだして惹かれ合うという展開はかような物語の形態として理想的だ。

ここでの"理想的"とは私の掲げる理想に近い、という意味である。

ジェシカ・バーデン演じるアリッサの心情の緩慢な変化を的確に演じる地力の高さに驚かされるが、相方であるアレックス・ロウザーの自分をサイコパスと定義してしまった少年による自意識の始まりと終わりの差異の演じ分けも目を引く。主演二名の演技力が、このサイコのようで現実と地続きの悲痛さを帯びた物語に厚みを与えており、物語の味わいを豊かにしているのは好感触である。物語を一致/不一致の曲調と共に彩る劇伴も優秀な作品で、お手軽さを伴った作品として完成度の高さが伺える。
都部

都部