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エミリー、パリへ行く シーズン2の都部のレビュー・感想・評価

3.4
SEASON1と比較すると仕事関係から人間関係への波及が成されていた作劇の構図が物語の土台の定着により逆転して、人間関係の混沌が仕事の動向を左右する構成がより露骨なものとなっている。それは前期で優れていたエミリーの巴里生活での新鮮さが齎す溌剌な作劇模様を些か欠いていることを意味しており、幾許かの慣れを感じる言動が題材上 作品の世界観を既知で小規模なものへと狭める傾向が見られるのは少し残念だ。

しかしこうした人間関係の整理整頓が行われる中で、交わされる端役達のドラマの進行は物語に新たな彩りを与えている。特にエミリーの上司にして女社長シルヴィーと友人のミンディーのドラマは着々と進行していき、花の都で繰り広げられる色恋事情はエミリーの物語を邪魔することなく培われ展開されていき、個人的には前者の妙齢である彼女が若き才能に恋する際に生じる葛藤を描きながらも女傑として大胆に踏み込んでいく姿は大いに楽しませられる。

それに対してエミリー個人の物語は色恋沙汰に重きを置きすぎなきらいがあり、またそこでの三角関係もさしたる面白さを伴ったものではないのであまりに気持ちが乗らないというのはどうしてもある。友人の恋人と愛し合ってしまった──というのっぴきならない秘め事が、本作において大きな問題を形成するのだが、軽妙さが売りのコメディドラマとしてその重さを十分に表現することは出来ておらず あっさりとした解決で進行していくのは現実的だがあくまで現実的なだけである。

かように連続ドラマとしての良し悪しが克明になってきたと感じるSEASON2で、コメディ要素を有する作品としての見易さは安定しているものの、強く印象に残るような回やシークエンスに恵まれないまま終幕を迎えてしまったので、ドラマとしての軽妙さが若干の足を引っ張っている。
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