都部

ロシアン・ドール:謎のタイムループ シーズン1の都部のレビュー・感想・評価

3.7
筋書きは手垢塗れのオーソドックスなそれだが、ナターシャ・リオン演じる主人公 ナディアの魅力的なキャラクターとその言動により、ままならない状況に立たされることの無軌道な面白さを獲得しているのは明白である。

展開を追っていくと思わぬ人物の介入により物語は変調を迎え、繰り返される最低の一日の悔恨をヤケクソ気味に果たしていく展開は愉快だ。
1話あたりの尺を考えると、中弛みを回避するドラマの構成として基本的な部分は抑えており、しかしながら全体像が中々に把握出来ない進捗は人によって好みが別れるように思う。

タイムループ物の法則の発見というアプローチは実のところ本作は数が限られており、最終話の真相の発覚も多くの意味で予想に反する展開を迎えることになる。それの為の演出込みで私は面白いと感じたが、うーむ、難しい…………ただ最終回の結末によりアーティスティック&奇妙なエモーショナルの後味を得ているとは思う。

入れ子構造を意味するタイトルの拾い方も『そうくるか〜』と些細な感心を煽り、先行きが読めるようで読めない計画されたグダグダ感も独特の味として楽しめる。劇伴とは異なるが、シーンに配置された既存の音楽の扱い方も耳に残るもので印象的だった
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