都部

ロシアン・ドール:謎のタイムループ シーズン2の都部のレビュー・感想・評価

3.7
"タイムループ"の設定に準じた素直な物語を展開していたシーズン1と比較すると物語は複雑化した印象で、時間軸の移動による自分のルーツと直面する物語は前作になかった奥行きを与えている。とはいえ観念的な切り口が増えたことで、物語のテーマ性が曖昧模糊としているのもまた事実で一概にこちらの方が優れているとも言い難い。

地下鉄に乗って過去へというアプローチの仕方は普遍的だが、時間軸に即した血縁関係者の姿になるという一捻りが作品の面白さとして機能していて、不理解のままに終焉を迎えた母や母を形作った祖母そして自分の血縁者に関わってきた義母との繋がりを再確認していく筆致は内省的で好ましい。前作はタイムループ物ではあるがループにより積み上げられるものへの言及はそれほどではなかったのが不満点としてあって、そこを解消しているのが本シーズンではある。

母を許すことも愛することもやはり出来ないが、ただそれでも彼女の境遇を知り、自分なりの折り合いを付けることは、解消されない人生の堂々巡りから脱する為の手段なのだろう。だから前作同様に現象の法則性や整合性はやはり主題ではなく、セルフケアの為の一歩の手段としてそれらが用いられているということなのかな。死を否定した前作からの、ああした形で死を受容するというオチがなかなか良かった。
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