トランティニャン

メア・オブ・イーストタウン/ある殺人事件の真実のトランティニャンのレビュー・感想・評価

4.5
『トゥルー・ディテクティブ』S3と『ある家族の肖像』を掛け合わせたような、アメリカ郊外のミステリーと人間ドラマを濃厚に味わえるHBOな力作。
薄化粧で胴回りもしっかりしている「ばあば」ケイト・ウィンスレットのある種の衝撃的な佇まいをはじめ、着飾った役者などなく、母親は地味、父親はヒゲだらけ、地味で個人的にはやや既視感ある画作りだ。

ただ、家族やコミュニティは皆各々に問題を抱えていて、事件によってそれはさらに根深いものになって取り返しのつかない様相を見せていく。どんでん返し狙いゆえのミスリードな演出は否めないものの、物語が網羅的かつ立体的になり、止まらなくなるのはさすがHBOクオリティ。日本も見習えるはず…

疲労感漂うしんどい帰結ではあるけど、途中癒しだったのがメアの母を演じたジーン・スマートのお茶目なゆるさ。彼女だけが何にも蝕まれていないメンタルを持ち得ているということか。アイスのくだりのバタバタは最高だった。