トランティニャン

鎌倉殿の13人のトランティニャンのレビュー・感想・評価

鎌倉殿の13人(2022年製作のドラマ)
4.5
初めて大河と三谷幸喜を完走できた。ターニングポイントはやはり佐藤浩市扮する上総介の誅殺だろう。ここで、これが血生臭い鎌倉初期の物語であることを一気に突き付けられた。
登場人物を時にコミカルに描く三谷脚本だからこそ、非情な最期との落差に身悶えることになる。義仲、義経、範頼、梶原景時、頼家、畠山重忠、和田義盛、実朝――史実通りなのに、頼朝や義時と同じ業を背負った心地になってしまう。「頼りになる者が最も恐ろしい」ゆえに、義時の周りにはしたたかな三浦義村を除いては、身内以外誰もいなくなっていく。タイトルの空虚さも、最終回で割とこじ付け感あったけど回収された。吾妻鏡という歴史書に新たな解釈と創作(エンタメ)を加え、残酷な史実を肉付けした脚本は本当に素晴らしい。

正月に放送前にやっていた「鎌倉殿サミット」を観直してみたい。
幕府は広域指定暴力団、政子は極妻、ゆえに鎌倉はゴッドファーザーの町と言っている学者がいたが、このドラマがゴッドファーザーPARTⅡであり、ブレイキング・バッドであったことを思うと至極納得。

0.5引いたのは、登場人物多過ぎてエイジングや子役の切り替えが大変だなと感じさせてしまったことと、やはり合戦シーンの迫力不足。物語の軸が政と謀にあるので大きな問題では無いけれど、スペクタクルも加われば『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』だった。