こたつむり

SPECサーガ完結編 SICK’S 厩乃抄 ~内閣情報調査室特務事項専従係事件簿~のこたつむりのレビュー・感想・評価

3.0
★ 絡繰り人形よ 消えぬ業を背負って踊れ
  卑屈な烏は言う 
  「国民は皆豚なのであります」
 
やっぱり『SPEC』は偉大だったのですね。
映画は色々と叩かれましたけど…その叩く気持ちは分かりますけど…何だかんだ言っても、不器用な二人(当麻と瀬文)にとっては最高の着地点でした。

でも、本作は…うーん。
完結編と謳いながら、シリーズの蛇足の蛇足に貶めたことは…これは脚本家が悪いのか。それとも、予算が足りなかったのか。

…なんて気持ちでスタッフクレジットを確かめると、え。脚本家のクレジットがない。確かに「テレビドラマは現場で脚本が変わる」と耳にしますけど(堤幸彦監督ならば尚更)。

でもねえ。クレジットすらないのはねえ。
これは行き当たり場当たり過ぎるのか、それとも責任を取りたくないのか。どちらにしろ、万死に値する着地だったと思いますよ、植田プロデューサー。

仮に、これが最初からの作戦だったとしても。
あまりにも雑すぎる登場人物たちの扱い。予算が無いから友情出演すらお願いできない…それは仕方ないと思いますが、中途半端に過去の人たちを出して期待させないでください。

そもそも、本シーズンは敵の方向性も微妙。
波岡一喜さんは頑張っていましたし、ホリックもなかなか面白い設定ですし、一一十(にのまえいと)の正体についても面白かったのですが…“右寄り”の設定を出すならば、そこに喰らわすカウンターパンチも重くないとダメです。ただ単純に「自由で優しい国」なんて口にしても説得力がありません。

しかも、主人公の二人までも微妙。
親子の葛藤に意味はあったのか。思想が変わることに意味があったのか。秘書官の長谷部ではありませんが、思わず「大義!大義!」と言いたくなる扱いでした。

まあ、そんなわけで。
タイヤキの寝袋以外は記憶を抹消したくなる作品。テレビドラマはジャンクフード。鑑賞中が楽しければ良い…という前提ならば、最後の最後を除いて楽しめたのは事実ですが…でもなあ。最終バトルの決着方法も納得が…ぶつぶつ…なぜ、ピンポイントで…ぶつぶつ…。
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