なっこ

おっさんずラブのなっこのレビュー・感想・評価

おっさんずラブ(2018年製作のドラマ)
3.2
田中圭さんのコメディエンヌぶりがとても良かった。

主人公は、男性の多い職場で、突然上司にアプローチされたり後輩に告られたり、先輩が後輩の元カレで三角関係から四角関係に…ってなんだか、全然安心できない。どれほど自分が異性愛というフィルターだけで世の中を見ていたのか思い知らされる。

男性の魅力が前面に出てくる分、女性社員をはじめ、女性の登場人物が、一歩引いてしまっているところは、少し残念かな。離婚を切り出される上司の妻にしても、恋敵が男だったという幼馴染にしても、可愛らしくて物分かりが良いのは好感がもてるが、それだと、非現実的な気がする。本当にこんなにもあっさりと引いてしまえるかなぁ。もっと足掻いて、恋敵の足を引っ張って、あの手この手で好きな男を自分の方へと引っ張るのがほんとうな気がする。女性がちゃんとライバルにしてもらえてない気がして、それは少し物足りない。もちろんstoryの主流ではないことは百も承知だが、女性キャラクターもちゃんと立体的に描いてもらえてると、実際にこういう爪弾きにあった時の対処法が見出せるんだけどな。

異性愛だけが恋愛の全てではなくて、同性を好きになることも、同性を好きな人も、世の中にはいることをちゃんと示したドラマ。おっさんの可愛らしさやエスっけのある年下男子の片想いの切なさが、見てて、ああ恋する気持ちって、そうだよね、こんな気持ちだよねと共感させてくれる。でも、主人公を女性ヒロインだと仮定して見てると、かつての恋愛ドラマの王道にも見えてくる。平凡だけど何故かみんなに愛されるヒロインが二人の男の間で揺れて擦った揉んだの末にどっちかとくっついて終わる的な。それでも、同性を好きになることを肯定的に描いている点は、これまでのドラマがそういうことを中心にして描かれてこなかった分インパクトは大きいし、肯定的な反響はひとまずとても良いことだと思う。恋をすると仔犬のようにキュートな吉田鋼太郎さんをはじめ、役者さんたちのエモーショナルでかつファンキーな今までにない面にたくさん出会うことができて、見ていてとても楽しいドラマでした。
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