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いだてん~東京オリムピック噺~のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

4.8
「いたぞ!彼こそが韋駄天だ!」。歓声の中、オリンピック予選会で世界記録を更新したのは熊本出身の青年、金栗四三(中村勘九郎)だった。1912年、日本人初のオリンピック選手として、ストックホルムへ渡った四三らが目にしたものは――。
“浜名湾の河童”と呼ばれながら病気で水泳を断念した田畑政治(阿部サダヲ)。しかし水泳への情熱はやむことなく、新聞記者のかたわら指導者とし日本水泳の未来を切り開いていく。メダルラッシュに沸いた1932年ロサンゼルスオリンピック。“前畑ガンバレ”のラジオ実況に日本中が熱狂した1936年ベルリンオリンピック。オリンピックの舞台で「水泳大国ニッポン」を世界に知らしめた。そして、嘉納治五郎(役所広司)、田畑らの尽力により、1940年東京オリンピックの開催が決まる。だが、それは悲劇の始まりでもあった。世界は混迷の時代へ。日本にも戦争の影が忍び寄る―。 それから約50年後、オリンピック開催に湧く東京のとある寄席。落語家・古今亭志ん生(ビートたけし)が語り始めたのは、日本人の汗と涙と笑いに溢れた“東京オリムピック噺”だった。
日本人が初参加し惨敗したストックホルム大会から東京オリンピック開催まで、日本スポーツの黎明期を描く大河ドラマ。
オリンピック出場し、先進国に肩を並べるレベルまで日本スポーツを押し上げるため、国の支援や理解が得られない中で日本スポーツのレベルアップのため尽力する嘉納治五郎たち日本体育連盟や金栗四三たちアスリートの苦闘を、虚実織り交ぜて「冨久」「火焔太鼓」などの落語とミックスさせた絶妙な語り口が巧みで、スポーツが政治利用されるきっかけやオリンピック初参加のストックホルム秘話や日本初のマラソン大会や箱根駅伝開催秘話や日本の女子スポーツの黎明期などアンビリーバボーな秘話ばかりで、走ることに夢中な金栗四三やオリンピック精神に惹かれ大ホラを吹き豪快でリーダーシップに富んだ嘉納治五郎やマシンガントークと突飛な発想で道を切り開く田畑政治や走るために生まれた女人見絹枝や金メダルを期待する周囲のプレッシャーに打ち勝つために御守り食べた前畑秀子などの個性的なキャラクターがせめぎ合う生き生きとした群像劇は、バイタリティに満ち溢れていて、アスリートが全力を尽くすスポーツやオリンピックの素晴らしさや苦労に感動し見ているだけで元気になる大河ドラマ。
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