なっこ

オー・マイ・ビーナスのなっこのレビュー・感想・評価

オー・マイ・ビーナス(2015年製作のドラマ)
3.6
これを見たら私もダイエット頑張れるかな、なんて見始めたら、全く予想外の方向へ連れていかれた感じ。良い意味で。健康とは、自分の身体に愛と責任を持つこと。それは、恋に似ている。自分の身体をどう愛するか、どう責任を持つか、は、自分のこと以上に誰かを愛した時に思い知らされる。
病にしても怪我にしても、避けて通ることが出来れば幸いだ。でも、ドラマの中で何度も語られるように病院に行けば分かる、傷ついたり痛みに耐えたりしている人がとても多いこと。

健康であることは何よりセクシーだというコーチの考え方に私はとても好感を持った。

一度でも身体に痛みを経験した人は知っている。そこから本当に回復していくことの難しさを。身体が完治しても心がむしばまれたままであることの怖さを知った。身体が記憶してしまった痛みを完全に排除することは難しい。
膝の痛みと闘うコーチの姿から、『孤児列車』という物語の冒頭に引用されている以下の文章を思い出していた。

川から川へと移動するとき、アベナキ族は、カヌーと持ち物すべてを運ばなければならなかった。身軽に旅することの意義を誰もが知っていたし、そのためには何かを置き去りにしなければならないことも理解していた。何よりも邪魔になるのは恐れであり、しばしばそれがもっとも捨てがたい重荷となった。 ――バニー・マクブライド『夜明けの女たち』

ここで言うところの“移動”は人生そのものだ。生きていく上で、旅を続ける上で、一番に置いていくべきは“恐怖”なのだろう、けれど、それを完全に取り去ることは難しい。でも捨てがたい、そう、無ければ慎重さも生まれないのだから。

名言の多いドラマだった。
何よりいつも前向きなヒロインの強さに励まされた。
えくぼもかわいいけれど、私はぽっちゃりめの彼女の方が好みだったな。眼鏡もかわいくて似合ってるし。

痩せて健康になった彼女は美しい。
それよりもっと、どんな困難な状況になっても状況を好転させるために戦う姿勢を崩さないヒロインが美しい。私の心の中にも常に彼女がいて欲しいと思った。
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