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イカゲームのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

イカゲーム(2021年製作のドラマ)
4.3
バツイチの父親で事業に失敗し、高利貸しから追われているソン・ギフン(イ・ジョンジェ)は、老いた母親と経済的に困窮した日々を送っていた。
ある日、ギフンは地下鉄でスーツ姿の男性(コン・ユ)から、お互いの金を賭けてめんこをしないかと誘われる。
めんこに勝利したギフンは、もっと高い賭け金のゲームをしないかと男から持ちかけられ、その誘いに乗ることにした。
ゲームの参加者は秘密の離島に集められ、ギフンはそこで幼馴染でありソウル大学首席でもあるチョ・サンウ(パク・ヘス)や、脳腫瘍を患う老人オ・イルナム(オ・ヨンス)、脱北者の少女カン・セビョク(チョン・ホヨン)らなどと出会うことになる。
1ゲーム目は「だるまさんがころんだ」。
最初に動いた参加者が目の前で射殺され、参加者はパニックに陥る。 結果、参加者456人の内255人が射殺されてしまう。
ギフンたちが参加したゲームは、実はプレイヤー1人に1億ウォン(約1千万円)の賞金が掛けられたデスゲームだった。
恐怖で帰りたいと訴える参加者が多数いたため、ゲーム参加時に交わされた契約に基づきゲーム続行の可否を問う多数決が行われる。
ゲームの中止が決定され参加者は実社会に戻ることになった。
しかし、殆どの参加者は生活苦に再び追われることとなり、その後ゲームに戻ることを選択するのであった。
監督、脚本を担当したファン・バンヒョクが、2008年に韓国で起きた金融危機の影響で経済的に苦境にあった経験と雌伏時代に韓国のネットカフェで読んだ「バトル・ロワイヤル」「ライアーゲーム」「賭博黙示録カイジ」などのデスゲームものの漫画に着想を得て、「もし現実に大金を得られるデスゲームがあったら、どのように家族のために参加するか?」考えてドラマシリーズを構想した。
韓国で起きた金融危機の影響で、家計の赤字に苦しんでいる家庭が多く、事業に失敗し多額の債務を抱えた人が続出している韓国の現実に加えて、デリバティブの仕手戦で大損して多額の負債を負うサンウや脱北者で北朝鮮から家族を呼び寄せるために多額の資金を必要としているセビョクや不払いの給与を会社に払わせたい出稼ぎ労働者のアリなど、貧富の差が激しい韓国の厳しい現実が凝縮されたゲームの参加者の事情が、丁寧に描かれているので、日本のサバイバルゲームものより世知辛い。
「だるまさんがころんだ」、カルメ焼きの「カタヌキゲーム」、「ビー玉遊び」、「綱引きゲーム」、「飛び石ゲーム」、「イカゲーム」と、韓国では団体で行う子供の遊びが大半なので、「賭博黙示録カイジ」のように個人同士の知能戦より、信頼し合い作戦を立ててゲームに挑む集団の中の心理戦や友情や裏切りが強調された展開なので、特に第4ゲームの「ビー玉遊び」のエピソードで幼馴染のギフンとサンウや脱北者のセビョクと牧師の父親に虐待されたジヨンやゲームで助け合っていたサンウとアリの絆が残酷なデスゲームの中で踏み躙られる展開が、辛い。
もちろんデスゲームの中で、勝つための作戦を考えて仲間たちと団結して勝ち抜く知能戦のスリルは、多彩なバリエーションのデスゲームの中で楽しめる。
イ・ジョンジェやパク・ヘスやチョン・ホヨンなど、韓国映画界の演技派俳優のアンサンブルが楽しめるデスゲーム・サスペンスドラマシリーズ。
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