空

マイネーム: 偽りと復讐の空のネタバレレビュー・内容・結末

マイネーム: 偽りと復讐(2021年製作のドラマ)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

犯罪組織に育てられた主人公が警察へ潜入。と同時に犯罪組織の側にも潜入捜査官がいるという設定は香港ノワールの『インファナルアフェア』。

互いのボスが「犬」について話すシーンや、潜入先の警察のチーム長がチームのメンバーを疑うときのカメラワーク、小型カメラが仕込まれているプレゼントのライターまで(原作は時計だったけど)ほんとそのまま。

けれどメインストーリーは韓国ドラマお得意の復讐劇に仕上がっていて、イカゲームしかり韓国は元ネタをオリジナルに昇華させるのが本当に上手い。

1話の時点では主人公のハンソヒの動きにぎこちなさを感じたけど、3話以降動きに力強さと俊敏さが増して、男ばかりのノワールの世界観に見事溶け込んでいた。

ノワール作品の夜のシーンは一般的に青みを帯びた映像が多いけど、本作はオレンジみを帯びた映像で、目の動きや表情にフォーカスしたカメラワークも多く、特に取調べの心理戦では互いの腹の探り合いの緊迫した雰囲気がすごく伝わってきた。

悪役がみんな魅力的で、特にト・ガンジェ演じたチャン・リュルの狂気は圧倒的存在感で光ってた。
犯罪組織のボスを演じたパク・ヒスン、渋くてカッコいい俳優さんなんだけど、いつも小物感が出ちゃうんだよね。
今作ではジウを利用しながらも屈折した愛と執着を抱いてしまうというとても難しい役どころだったと思うけど、もっと内面から滲み出る狂気とラスボス感が見たかった。
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