いよら

私の解放日誌のいよらのレビュー・感想・評価

私の解放日誌(2022年製作のドラマ)
4.1
フィル友さんの続々上がってくる高評価レビューに押されて視聴。

不思議な雰囲気のあるドラマでした。
うん、嫌いじゃないです。というよりは、こういう淡々とした雰囲気のあるドラマ好きです。
はじめの方はほとんど何も起こらない、というよりこの家族、兄妹たちの置かれた現状を綴っていくストーリー。
ソウルではなく、ソウルから離れたサンポ市(電車で1〜2時間程度)のところに住んでいる3兄妹の物語。
(この距離感、私の住んでいるところから東京までの距離感に近い気もする…。いやうちの方がもっと遠いな。。)

長女ギジョン。ソウルの調査会社に勤めている。常に色んなことに文句を言っているような人。そして割とタイミングが悪い女性。家のことを手伝うのは嫌で、家を毛嫌いしている。
長男チャンヒ。大手のコンビニチェーン本社に勤めている営業マン。現状に不満を持っているし、自分の現状にコンプレックスを抱えている。自分を認めてくれない父にも反発している。
次女ミジョン。カード会社のデザイン部派遣社員。表面上は周りとそつなく付き合っているが、本音を吐き出せる人はほとんどいない。不満を溜め込んでしまうタイプ。
そして、この家族の近くに突然住み始めて、家業であるシンクの仕事や農業を手伝ってくれることになるのが、謎多き男のク氏。素性はわからず、ただ黙々と仕事をし、毎晩お酒を飲んでいる男。

この4人が中心に物語は動いていきます。

「解放日誌」とは…そこに関しては、一応はミジョンが会社の同僚と一緒に始めた「解放クラブ」の活動に由来するんですよね。
というか、この会社のクラブ活動的なのってなんなんだ??家庭や個人の事情でクラブ活動なんてする余裕無い人もいるだろうに、所属してない人が変に思われるって。(とは言いつつ、たぶん私はこういうのあったら何かしらに所属してしまうタイプの人間です…)
まぁ、それがキッカケでこのクラブが作られたわけですが。。
何からの"解放"かは、それぞれ違うんだろうな、と思います。いずれにしても、解放されることそのものよりも、結局は自分が何に囚われているのかっていうのを見つめることが大事なのかな、というのを感じました。
現代社会の生きにくさっていうのもあるのかな?結局みんな、何かに囚われているんですよね。枠だったり、形だったり、固定観念だったり、自分自身だったり。それは人によって違うんだと思いますけど。個人的に、相談員さんの"どんな時での笑顔になってしまう"っていうのに、なんか心を締め付けられました。感情がうまく表現できないということ。仕事だから笑顔を作らなきゃいけないけど、自分がどこまで心から笑えているんだろう…とかなんか考えちゃいましたね。


ソンソックが演じるク氏が本当に良かったですね。最初はどんな人物なのか、何考えてるのか、全くわからなかったんですけど、徐々に彼の中身が見えてきて、そっけない態度の中に見える優しさとかがツボでした。ミジョンとの間にある空気感が絶妙で…。言葉だけじゃないんだよなって。基本、寡黙でただそばにいるっていう感じなのに、時折見せる強引さとか…良かったです。そして後半はまた違う魅力が…。ハグとかハグとか…。口数も多くなって、いやもう、なんか、愛ですよね?ミジョンに対する態度と表情と視線。そして彼の「ヨム・ミジョン」って呼ぶ時の声が好き。はい、完全にソンソックに堕ちましたね。。
ミジョンも可愛かったですね。考え方っていう部分で言うと理解できない部分もあったんですが。でもク氏と一緒にいる時の表情と、ク氏に対しての言葉と、なんかすごくいいんですよね。ク氏にただ寄り添ってるんです。ただ一緒にいて居心地の良い関係、そんな2人を見てるのが心地よくて好きでした。ミジョンの「自分が愛らしく思える」って言葉も愛おしかったし。


ギジョンは最初こそ嫌な人物ではありましたが、登場人物の中で一番共感してたかもしれません。一般的には常に言いたい放題だし、なんでそんなこというかな、って思う部分もあるんですけど、嫌いにはなれませんでした。自分の感情に素直になってからの彼女は可愛く感じてましたし。恋も応援したくなりますね。
イギウとの関係も良かったです。このイギウは久々にいい人でしたね。(『記憶』のせいで悪人イメージが…)ラストはなんか可愛かったですし。

チャンヒは怒鳴ってるところ多かったので、なんでイミンギはこんな役受けたのかな?って思ってたんですけど、ラストに向けて、すごく変わっていった気がします。いや中身は多分変わってないのかもしれないんですけど、彼の本質が見えてきたっていうのかな。そして、彼自身がどうしたかったのか、っていうのに気づけたことが大きいのかなと思いました。実はかなり器の大きい人で情に深い人なんじゃないかな?そして、タイミングがいいというか、悪いというか、そういうものをもって生まれた人なんだな、と。

何気に、12話のチャンヒとク氏のマラソンが楽しくて好きです。走り出しは本気なのに、徐々に楽しんでる感じがね。そして、そこから2人の気持ちが変化していって、それぞれの道へ進んでいくことになるっていうのもグッときます。


ラストは、それぞれの解釈なのかな?解放とは何という答えはきっとそれぞれの心の中に。
でも、登場人物みんな、初めの地点からはいろんな形で変化してたどり着いて今になっていて。それが解放された、と言えるかはわからないけど、心のあるところは確実に変化してるんじゃないかなと思いました。


またしても長文レビューになってしまった。。
いよら

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