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Pachinko パチンコのEDDIEのレビュー・感想・評価

Pachinko パチンコ(2022年製作のドラマ)
4.4
AppleTV+でしか観れないという条件面さえ取っ払えば間違いなく2022年を代表するドラマの一つになり得る。
ソンジャという1人の在日韓国人女性を軸に、日本と韓国両国の2つの時代を行き来する。賎民意識や日本人の優越感、歴史的に目を背けてはならない関東大震災朝鮮人大虐殺など、社会性の強い作品性を貫いた意欲作。
すべての日本人に観てほしい傑作ドラマ。

映画『ミナリ』でアカデミー助演女優賞を受賞したユン・ヨジョン演じる老年期のソンジャは圧巻の存在感ながら、エピソードを進めるごとに“この土地で生き延びなければ”と強い決意を固めていく若かりしソンジャを演じたキム・ミンハも素晴らしい。


▼Twitterに投稿した各話短評

◆ 第1話
韓国が日本の植民地だった1920年代。懸命に生きる人々を尻目にモノ同然の扱いをする日本兵に胸が痛む。そして時代は変わり1989年、韓国籍日本人ソロモンはニューヨークで大型M&Aを成立させ活躍するが、昇進・昇格おろか周りからの視線が痛々しい。

◆ 第2話
大阪、韓国、ニューヨークを舞台に2つの時代を描く。ハンスとソンジャの出逢い。2人は一気に距離を縮めていく。一方、現代ではソロモンが在日コリアンであることを利用しながら躍進していく。2つの時代がいずれ交錯するのか。今後の展開から目が離せない。

◆ 第3話
ソンジャは最愛の人の子を授かったことに喜びながらも相手が相手だけに露わにできない。ハンスも“言葉では”喜びを示すが、結婚はできないと…立場と自分勝手な言動、それに振り回されソンジャの人生は大きく狂う。現代ではソロモンのM&Aに大きく寄与することに。

◆ 第4話
ソンジャは生まれ育った故郷を後にして大阪へ行くことに。まさかの妊娠と父親の突き放し、そして牧師の男の親切心。大切な母のもとを離れるその瞬間のソンジャの感情爆発したかのような涙のシーンは辛い。一方、現代のソロモンは大型契約を前に試練を迎えていた。

◆ 第5話
大阪という異文化で生活を強いられるソンジャ。彼女は300円の価値があるだろう時計を質屋に持っていく。他人に頼らざるを得ない状況は実に辛く重い。現代のソンジャは墓を探しに韓国へ。感動的な再会と共に日本へ戻る決意を固める。息子がMAKIDAIにしか見えない。

◆ 第6話
ソンジャの出産。夫イサクは兄を探しに出ていき立ち会えずにいた。それでも2人の愛の絆は強固。どんな境遇でも互いを信頼し合っているのがわかる。現代ではハンメからハナヘ真実が告げられた。失った人生を取り戻すのは簡単でない。だけど家族の絆は回復できる。

◆ 第7話
1923年、関東大震災…若かりしハンスが日本でどう生きてきたのかがわかるエピソード。綺麗事では生きていけない。今の地位をどう築いたのか。親や大切な人を亡くした人は大勢いる。そんな中で呆然と立ち尽くすことなく前に進む。そうしないと何も変わらないのだ。

◆ 第8話
懸命に生きる。どんなに非難に晒されようが窮屈だろうが生きるためには前を向くしかない。ノアとイサクの別れ、ノアとハンスの邂逅、ソンジャの覚悟。全てが結実したシーズンフィナーレ。ラストのソンジャのキムチ売りのシーンは涙なしには観れない。大傑作。
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