mimitakoyaki

今日のウェブトゥーンのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

今日のウェブトゥーン(2022年製作のドラマ)
4.3
日本の人気コミック「重版出来」を原作にした韓国ドラマです。
原作コミックも読んでないし、日本のドラマも見てないのですが、本作、ウェブコミックの編集者である主人公の成長や、職場の仲間達との連帯、家族愛、漫画家や編集者の仕事と葛藤などが盛り込まれ、しかも主人公だけでなく、周りの人達の人間模様が群像劇のようにとても丁寧に綴られていてるので、どの人の事も好きになるし応援したくなって、最後まですごく楽しめました。

とにかく、主人公のマウムを演じたキムセジョンが素晴らしく、こんな女の子、魅力的過ぎて誰でも好きになるやろって思うようなキャラクターになってるのが勝ってます。
元々は柔道の韓国代表にまでなってオリンピックを目指しながら柔道一筋に生きてきたのですが、試合のケガがきっかけで挫折し、夢を諦めて契約社員としてウェブコミックの編集者になります。

編集者の仕事がほんとに大変そうで、いかに作品を世に出すかという苦労がまずあるし、当然ビジネスなので収益を出さないといけなくて、閲覧数や読者コメントなどすべて可視化されるのでとてもシビアで、そのプレッシャーと闘う作者を支えながら、二人三脚で作品を作っていく過程がおもしろくて見入ります。

編集部廃部が囁かれる中、自分達の仕事、作家、作品を守ろうと、編集部のみんなで必死に駆け回り、失敗したり困難の連続で落ち込んだりしながらも、上司や同期の同僚と支え合って乗り越えていくのが、笑いあり涙ありで、編集者も作家達もそれぞれが心に何かしらのしこりを抱えて生きてるのだけど、自分自身や周りの人と向き合い、仕事を通じて傷ついた心が癒やされていく、そんな優しいストーリーがとても良かったです。

また漫画家も、売れっ子もいれば長年下積みをしていても芽が出ない人もいて、売れっ子だって会社の命運をかけられるから、それを維持しないといけない重圧があるし、常に締切に追われるし、人気作家であっても展開がマンネリ化したり新作が不人気だったりしてスランプに陥り、自信喪失したりして、常に良い作品を生み出すことがいかに大変かを思いました。
売れない漫画家も、いきなり後輩の新人が天才肌で、大ヒット飛ばしたりしてるのを見るのがどれだけ辛いことか、夢に全てを捧げることと同時に、その夢を諦めることについても、あたたかな視点で描かれています。

また、こんな苦労があって、みんな人生をかけてるのに、一方で気軽に無責任に罵倒コメントを書き込むことがいかに残酷なことかも触れられています。

キャストも良くて、キムセジョンがほんとに当たり!
彼女の屈託ない笑顔と溌剌とした声に元気がもらえるし、いろんな困難があっても、誠意を持って相手に向き合う姿勢がとても素敵でした。
また、柔道選手ということもあり力が強く、同期のジュニョンや新人漫画家のテリュクなどを体を張って守るところも良い!
女性=男性に守ってもらう立場、というのとは逆転させて、力の強い女性をチャーミングに描いているのがとても良かったです。
何でも美味しそうにモリモリ食べるところも好き。

同期のジュニョンを演じたナムユンスは「恋慕」も良かったですけど、今作ではエリート新入社員で、花形部署から外れた廃部寸前の編集部に配属されたのが不本意で、周りとも打ち解けずに自身の出世しか考えてなかったのですが、マウムや編集部の先輩達、漫画家達との関わりの中で、気持ちが変化し、自分の殻を打ち破って成長していくのも良かったです。
韓国俳優は体も鍛えてマッチョな感じの人が多いですが、ナムユンスのヒョロっと細くてひ弱な感じも好きでした。

チェダニエルは上司の副編集長役で、この方の作品は初めてでしたが、眼鏡ナムジャが好きな私としては、優しくマウムを見守る副編集長にグッときました。
大人の魅力ってやつです。

そしてパクホサンです!
めちゃくちゃ良いです!
編集長として大きな責任を背負い、みんなを励ましながら必死で編集部を守ろうとする姿が最高にかっこいい。
表情、話し方、佇まい全てが味があって、いろんな作品で見ますけど、ほんとに素晴らしい俳優だなとあらためて思いました。

「シュルプ」のコ貴人など、わたしの好きな素敵アジュンマのウジョンウォンさんも出てたし、売れない漫画家のドンヒ役のペクソックァンは「二十五、二十一」でヒドのお父さん役だったし、ウェブトゥーン作家のポム役のハユリは「赤い袖先」でドギムの親友役で出てたし、「シスターズ」のヒョリンなど、他の作品で見た顔もたくさんありました。

裏方に焦点を当てた話というのもそうなんですが、いろんな好きな要素がたくさん詰め込まれてて、とても楽しくあたたかい作品でした。

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