真田ピロシキ

仮面ライダーBLACK SUNの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

仮面ライダーBLACK SUN(2022年製作のドラマ)
3.3
まず仮面ライダーにあまり興味がない。クウガアギト龍騎しか見てない。それでも風刺が強烈らしいと聞いてプライムに一旦戻って見てみたら確かに。安倍、麻生、在特会!隠す気が全くない。日本には右でも左でもないと言いながら左側の揶揄しかしない心底軽蔑するヘタレどもが多くいるが、これはスタンスを100%明確にしててそれだけで気骨がある。偏ってるくせにノンポリ気取りの卑怯者どもよりは極右の方がまだマシだわ。しかし風刺が面白いかと言うとあまりに直接的過ぎて説明的な映画を見てるよう。もっともそれは日本人はハッキリ言わないと誤読するという諦めかもしれず、やむを得ないかな。

絶対にニチアサではやれない表現がもりだくさんでモータルコンバットばりのフェイタリティが連発。命懸けと言いながら血も出ないマーベルのヌルい映画より見栄えはある。でも怪人最強格のシャドームーンですら銃を向けられたら逃げる程度の強さなのはどうなんだ?確かにこの程度では人間兵器としては失敗で整合性がとれてるかもしれないが、ジャンルの割に盛り上がりに欠ける。あまり真面目に見れてなかったのはこの辺の地味さもあるかと。それと物語も学生運動や731部隊など過去の話まで手を広げすぎてて、度々時間が飛ぶので散漫に。純粋にドラマとしては手放しでは誉められない。

在特会によるスズメ君殺害からやや集中力がアップ。あの在特会は演技だと分かってるのに嫌悪感が強すぎる迫真さで、演じる役者のメンタルを心配になる程。安倍もどきの誠実さのかけらもない答弁やそれほど喋ることもないのにそっくりすぎて強く印象に残る麻生もどきの存在など再現VTRでも見ているかのよう。最後の葵については意見が分かれているようだが、私はあれは見たままに実力行使も辞さないと言っていると思う。頭では非暴力であるべきと理解しているが、どんなに理を尽くし良心に訴えても君ら多数派は冷笑に伏してクールを装うじゃん。いい歳して厨二病のおバカさんだから。真実を突き付けてもフェイクとしてしまう。そして劇中で安倍もどきの後を継いだ岸田みたいな奴が言ってたようにすぐ忘れる。安保モリカケ桜etc、何度も見たよ。政権が危機に陥ったら北の方から救世主ミサイルが飛んできてJアラート流せば済むもんね。結局安倍が自業自得で殺されない限り溜まりきった汚濁が浮かび出てくることはなかったやん。汚れた壺すら普通の日本人は機会があれば早く忘れたがってると思ってるけどね。この国は大樹を切り落としても別の木になるだけ。根っこから腐りきってる。最早革命しかない。今やそういう段階に差し掛かっているということをお茶を濁さず語り切った意味を考えるべき。暴力革命賛美なのではなくこのまま放置していればそれが起こり得るという警告。しかも仮面ライダーという超有名コンテンツで非難を恐れずやった覚悟。与党政治家様と官僚様が国難を救い危機は日本人をも目覚めさせるなどと日本スゴいの極地だったお笑い『シン・ゴジラ』などよりずーっとやる意味がある大人の特撮だと思うよ。日本はスゴくない。ヒドい。子供向け番組で現実逃避してるだけの大きなお友達へいい加減目を覚ましやがれという蹴りだが、ブチ切れてる人の多さを見ると思った通り全然伝わっていなさそう。まぁ、分かってたことさ。期待するだけ無駄なアイツらはどうでもいい。9話で葵がモニターの向こうの不特定多数に対してフィクションを超えて投げかけた言葉が届いた人が少しでもいるのなら意味がある。このクリエイターの姿勢が続くことを願う。