Jessica

今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー~のJessicaのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

結果的に見て人の痛みがわかるドラマだなと思ったけどこの表紙よりも内容がはるかに重すぎてかなり見るのが苦しかった。
最近仲のいい友達がずっと大変そうでそろそろ鬱とかになっちゃうんじゃないか、心がぽきって折れてしまうんじゃないかと思って心配なので見せたいと思う反面これはさすがに重すぎるので今は見せられないなという思いも…。

いろんな気づきがあったけど一つは音楽。エンディングのエンドロールと一緒に流れる音楽が暗すぎて(各エピソードで異なるけど)クラシックなんだけどちょっと不穏な空気が多くダークな印象。芸術賞?を取っただけあって確かにビジュアルの印象は強かった。ダウンの家の色とかも明るくはなく暗めで全体的に映像が明るそうで暗い。
でも、このドラマのタイトルが精神病棟にも朝はやってくる、だから、毎回ダウンは夜明けに起きて朝方から出社する→朝日を見れるドラマの仕様になっているのかなと思った。ドラマの後半、退院してからゴユン先生と朝の散歩に行くのも集合は朝から。その辺りの一貫性は見られた。そして確かに朝のあのピリッとした空気って確かにいいなって思う。

よくある韓ドラと違っていいなと思ったのは幼馴染のユチャンではなくゴユン先生と結ばれたこと。今回もよくある幼馴染とくっつくタイプかなと思わせつつ…、ユチャンももちろん心の支えにずっとなってくれた、いなくてはならない存在なものの、一線を越えることはなく、ずっと自分を見ててくれて発症の時も退院してからも、掲示板の件で大変だった時も支えてくれて助けてくれたゴユンを選ぶ。あれが現実的だなと思ったし幸せになってほしいな。

実習生の子がパニック障害だったり、なかなか退院できず転院を繰り返す現実だったり、お薬の誤送とか医者とナースの確執とか…ただ単に患者とナースだけではなく細かい部分にこだわって作られていたり、病院側の人の話もよくわかる内容だった。
ダウンも含め、医療従事者であっても精神疾患には誰でもなり得るということがとてもわかりやすく描かれており、しかもあまりに明るい希望的観測で描きすぎずわりと本当に起こるであろう苦しい部分もたくさん描かれているからこそ本当にリアルだった。

ドゥルレカップルのお話も好きだった。あの女優さんも俳優さんもどっちも初めて見たけど女優さんはモデルみたいに背高くてすらっとしてるし、俳優さんの方は最初全然好きじゃなかったけど見ているうちに愛らしさが出てきた(お揃いのパーカー?よろこんで着てるの可愛すぎる)。あなたの病状はお母さんで、お母さんを捨てなさいってシーンは、韓国みたいに(日本もだけど)儒教の要素が強くて親は絶対!みたいな文化にとっては新しいし、でも今の時代に即しているなとも思った。なんだかんだ親なんだからまあ…みたいに捉えられてしまうことが多かったり結局ハッピーエンドみたいなのが多いけどここまで毒親に対してスパッと切り離せるのはスッキリする。実際こういうことで困っている若者は特に学歴至上主義とかルッキズム、かつ貧困層もいる社会では多いんじゃないかと思う。
韓ドラもこういうダークな部分扱ってるドラマ多い印象。

救われたのは他のレビューにも多い通り、本当に精神科のナースたちがみんな優しいこと。ジョンランは同期なものの彼女の単体のエピソードはないけど最後の方で"現状維持てのは完成体"て話が出てて、確かにそれはそれで悪くないよなとも思った。
ワーキングマザーのスヨン看護師のお話もすごく良かった(意地悪そうなお医者さんのフォローがうまかった)。ああいうふうに、看護師さんの方も患者さんと自分を投影して逆に学ぶこともきっと多いんだろうな、だからダウンみたいに看護師を天職と思うナースさんもいるだろう。

大学時代に社会学をやっていた関係でソーシャルワーカーに憧れていて授業ではburn outて学んだけど、精神科の先生やナースもburn outならないようにうまくはけ口を見つけたり、周りを頼ったりすることが大切。
Jessica

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