塔の上のカバンツェル

プレッシャーと共に:サッカー女子W杯アメリカ代表を追うの塔の上のカバンツェルのレビュー・感想・評価

3.4
この前の女子W杯、結構面白くて試合は15試合くらいはちゃんと観ちゃったんだけど、W杯を観てるのが前提のドキュメンタリーだとは思う。
その方がバックストーリーが呑み込みやすい。

大会中は、オーストラリアやコロンビアとか、推しのチームもできたし、日本代表も全チームの中でお世辞抜きに脚元の技術がレベチですっごい期待してたが故に無念の敗退が悔しくて悔しくて…。

オージーのレジェンドのサムカー、ニュースターのカイセドちゃんとか、新旧のスターが活躍したのや、手に汗握るPK戦も多くてコンテンツ力は高かった大会だった。

そして、優勝候補筆頭のアメリカ代表。
優勝するチームはグループリーグはだいたい低調だったりするので、今回もベスト4までは順当に行くんだろなーとか思ってたら、予想しない形でグループステージで敗退。
今から振り返ってドキュメンタリーを観ていると、浮き足立つ選手たちの姿を見出してじう。負けた時は特にそういうのがクローズアップされてしまうものだし。
でも、スウェーデン戦のPK戦とかは、1mmの差で勝敗が決まるあたりは流石アメリカのエンタメ度の高さだった。

なので、絶望寄りのドキュメンタリーにはなってたけども、
Amazonプライムの「all or nothing」とかで、ヤバいシーズンに密着しちゃった時の事故映像を見るような緊張感がいっそのこと欲しいとすら。
ドラマチック性はちょっと足りなかったなぁと。

それでも女性の権利や賃金の平等とか、男性社会のハラスメント病理への社会的ムーブメントの先頭に立ってきたアメリカ代表の公民権における歴史的立ち位置みたいな功績と、一方で勝負の世界の残酷な結果主義との間でもがく彼女たちの姿は画面にたゃんと映っていたとも。

ニュージェネレーションのトンプソンとか、若い世代が育っているのも希望が持てるのもある。

個人的なドキュメンタリーのハイライトは、アメリカ代表の1人が私の彼女は素晴らしい人で〜と、そういうこともある時代だなぁとノホホンと観てたら、コレ私の彼女!で紹介されるのがレジェンドのサムカーでひっくり返った。

"フットボール"ファン的にはイアンライトとかも出てきます。アーセナルだから岩渕選手推しだったり、女子のフットボール競技シーンに熱心な人なんだなぁ。