あーさん

天皇の料理番のあーさんのネタバレレビュー・内容・結末

天皇の料理番(2015年製作のドラマ)
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このレビューはネタバレを含みます

TBSの60周年記念企画(2015年)で、実話を元にした杉森久英の原作をドラマ化。

これは、素晴らしいドラマ❗️
当時、リアルタイムでどっぷりハマった覚えがある。
"はいぃ〜!"という独特の返事の仕方が、夫婦間で流行ったのが懐かしい笑 もう約7年前の話。。
年末に一挙再放送、とのことで録画して年末と新年明けてからに分けて観た。

一体、何がそんなに良いのか?
→とにかく、ドラマとしてのバランスが良い!
原作、脚本、音楽、そしてキャスト。全てがカチッとハマっていて、
観ていて次が楽しみで仕方ない♪

エルガーの"威風堂々"で気持ちを上げたかと思えば、さだまさしの"夢見る人"でしんみり切なく涙を誘う。

脚本は、森下佳子(この方と黒木華は私と同郷!→ちょっと自慢 ♪)。ドラマのセカチューで賞を獲り、その後 JIN-仁-、ごちそうさん、義母と娘のブルース…最近は天国と地獄 等、話題作を次々と手掛けている(音楽の使い方や展開が、JINや ぎぼむすと似ているな、と思ったのは気のせいではなかった…)。
丁寧にエピソードを重ねていく所や、次が読めそうで読めない展開、山場の作り方の絶妙さが大きな魅力。
今度のドラマ"大奥"も楽しみだなぁ♪

大正〜昭和に宮内省の主厨長(天皇の料理番)まで上り詰めた主人公 篤蔵(実在のご本人の名は秋山徳蔵)役の佐藤健の演技が、この頃とても新鮮だった。
彼は、普段ハーゲンダッツを食べてる王子様風だけれど、"るろうに剣心"でアクションもできる俳優として認知され、今作辺りから二枚目だけでなく癖のある三枚目役もできることが証明されたのではないかな。とにかくすぐにキレて思いのままに行動してしまう勢いのある篤蔵が、ハマり役!
この役に際して、彼は本格的に練習をして包丁さばきはかなりの腕前になっていたという(吹き替えは無し)。役との向き合い方がお見事!

辛抱強く篤蔵に寄り添う妻 俊子役の黒木華が、これまたぴったり。とんでもない夫に振り回されながらも、何故か離れ難い。。
出会ってから訳あって離縁するまで、再会するまでに自分らしく生きたいと得た産婆の仕事、あのプロポーズの言葉、再婚してからの忙しくも幸せな日々、そして悲しい別れ、、全てが必然だったと思える数々の場面が、今もありありと思い浮かぶ。

本来自立した者同士が敬い合って結びつくのが本意、という理想的な夫婦の在り方を示してくれる今作。
俊子が残したものを頼りに、篤蔵が懸命に仕事に励んでいく姿、家族を支えていく姿…涙なしには見られない。。(子ども達も健気でかわいい…俊子の育て方が素敵!)

病気のにいやん(鈴木亮平の20㎏減量が話題になった)を始め、父(杉本哲太)母(美保純)、師匠(小林薫)、友人(柄本佑・桐谷健太)…支えてくれた人達が夢を叶えさせてくれた、と語る篤蔵。
芸達者な俳優陣が、さながら篤蔵のサポートをする人々のように、確かな演技で主役を支える。見応えがある所以。

関東大震災、戦争と歴史のうねりに大きく生き方の変化を求められた時代。そんな時代を駆け抜けた篤蔵の波瀾万丈な人生。

観終わった後に、深い味わいと感動が押し寄せて、久しぶりにドラマに心が大きく揺り動かされた。。

何度観ても、素晴らしい。

癇癪持ちの篤蔵だったけれど、彼の情熱と才能を見抜いた人達に引き立てられ、それを克服すべく地道に励み、結果 沢山のものに恵まれた人生だったのだろう。

やはり、運を手にする人の陰の努力を思い知った。

本当に凄い人だと思う。
あーさん

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