なっこ

アラン使道伝のなっこのレビュー・感想・評価

アラン使道伝(2012年製作のドラマ)
3.0
ファンタジー・ロマンス時代劇

アラン伝説って、どんなお話なんだろうって、気になりつつも、奇想天外な展開に何が本筋なのわからないまま、気が付いたらサトが切ない目をしてアランを見つめるその瞳に私も恋をしていた。

怨霊や死神、天帝や閻魔、巫女や屋敷幽霊など民話や昔話などに出てきそうな登場人物たちの設定がまずよくわからなくて、日本の幽霊話といえば雨月物語や皿屋敷とかしか思い浮かばないし、そもそも死神って日本ではどういう扱いだっただろう…三途の川は理解できるし、閻魔様に舌を抜かれるとかは、共通項だけど、ああそう言えば七夕伝説は上帝が出てきてた気がする…韓国と日本や中国の昔話を比べてみたらおもしろいのかも。

アランの死の真相と使道の母の失踪にはつながりがあることが次第に濃厚になっていく。その謎を追いかけ解いていく物語でもあるし、記憶喪失幽霊のアランと幽霊が見える使道の恋物語でもある。アランは天帝に与えられた満月ふたつ分の期間しか使道のそばにはいられない。そしてかつては片想いした若旦那の記憶もアランの身体には残っている。

アランとソリム

ヒロインアランのキャラクターもその時代には即さない新しい女性であるように感じた。それは身分制にとらわれない感覚や自分の感情のまま行動しようとする強さや積極的に死神を罠にかけたり天帝をクソジジイ呼ばわりしたりする無鉄砲さから感じたこと。彼女は一度死んで、その時代の価値観に染まって生きていた深窓のお嬢様とは全く違う女に生まれ直したと言っていいだろう。そんな彼女の強さは現代の女性の感覚に近いものがあるはずで共感できるところもあり応援もしたくなる。アランが見つめる先にいるソリムは、どんな女性に見えていただろう。アランは死の真相を追いかけながらソリムについて考え続ける。この女性が女性を見つめる眼差しがいつも優しいところが韓国ドラマのヒロインの良い資質であるように思う。アランとソリムは全く性質の違う女性であり、好きになった男性も別。けれどこのふたりは互いにきちんと見つめ合い理解しようと歩み寄っているように感じた。女性が女性を見つめるそういう眼差しはとても大事。そうであってこそ連帯や共感は生まれてくるはずだから。

時代劇らしく衣装が素敵。色使いが美しい。夜の花見も素敵だった。時おり流れてくる日本語の歌詞の歌には驚いたけど。歌詞の切なさは音楽とよくマッチしていて分からなくても伝わるものなのかな。アクションシーンも多くてとにかく強い使道はカッコいい。そしてなにより自分の意思で動くヒロインも戦うヒロインとしてとても好き。
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