山岡

スター・トレック/宇宙大作戦 シーズン1の山岡のレビュー・感想・評価

4.0
有名シリーズの第一シーズン。1話完結でアクションやサスペンスは少なめ。クリフハンガーも無いし、現在のドラマと比べるとやや単調な印象を受ける人もいるかもしれない。

しかしカークやスポック、マッコイなどの落ち着いたオジサンたちの静かなドラマは心に謎の平穏を与えてくれる。日常系アニメのような魅力があって癖になってしまう。

政治的風刺や人間の倫理観を問うようなメッセージが多分に含まれているのも良い。

また、レトロフューチャーなビジュアルも現代の視聴者にとって大きな魅力の一つだがnetflixで配信されているリマスター版では特撮パートがCGに差し替えられているのがとても残念だ。

ベストエピソードは11.12話の「タロス星の幻怪人」だろう。カーク船長のいない最初期のパイロットフィルム「歪んだ楽園」の映像をリサイクルし、パイロット版では船長を務めていたパイクを半身不随になったカークの前任者とすることで新たなドラマを生み出している。さらにスポックがエンタープライズをハイジャックする衝撃の展開は非常にサスペンスにも満ちていた。

26話「クリンゴン帝国の侵略」もかなり面白かった。カークが辺境の惑星に降り立って、自分の正義をおしつけてその地で苦しむ人々を助けるといういかにも世界の警察官たるアメリカ的な展開が一つのパターンとなっている中で、アメリカ=エンタープライズも単なる侵略者に過ぎないと断罪する勇気ある展開には素直に感動した。
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