こたつむり

SPEC サーガ黎明篇「サトリの恋」のこたつむりのレビュー・感想・評価

4.5
★ 大丈夫 生きている意味はある
  大丈夫 生きていた意味はある
  弾けた冬の花火 あなたの笑顔 
  それさえも

映画は料理。ドラマはジャンクフード。
誤解を恐れずに言うのならば、そんな棲み分けで良いと思います。だから、漫画的な表現も大いに結構…なのですが、やはり、本作はやり過ぎだと思いました。

ただ、これって堤幸彦監督のサービス精神が為せる業。特に『SICK’S』とのリンクを表現したのは見事な限り。物語に奥行きが生まれますからね。なかなか面白い試みです。

ゆえに『SICK’S』の鑑賞は必須。
そして、これも当然ですが『SPEC』の鑑賞も必須。完全にファン向けの作品です。

なので、それを踏まえて言いますが。
最高です。ベリベリベリベリ最高です。
主人公の《星慧》は脇役で消費するにはモッタイナイ素材。そこに目をつけて、造形を掘り下げたわけですが…いやぁ。こんな背景があったとは。せつない。せつなすぎる。

特に、男女の友情が成立しているところがGOOD(友情ではなく、女王様と下僕の関係かもしれませんが)。お弁当の場面なんて思わず頬が濡れますね。東幹久さん最高。谷川功さん最高。あざっす。

そして、それを成立させているのが真野真里菜さん。この御方の“小悪魔感”がなければ、本作は豪快に空振りした間抜けなピエロ。いやぁ。けしからん。大いにけしからん。もっとやれ。

あと、本編にリンクした小ネタも最高。
ピーチ医者とかフランス語を操る看護師とかニヤニヤが止まりません。

ただ、一点だけ注意が必要なのは。
『ケイゾク』から追っかけてきた人に“哀しいお知らせ”があること。勿論、初出は『SICK’S』なので覚悟はしていたのですが…それが文字になると…うーん。

まあ、そんなわけで。
本編のお蔭で成立する内輪ネタ。
…なので完全に人を選ぶ作品ですが、選ばれたほうが楽しいので…積極的に楽しむ姿勢がオススメ。勿論『SPEC』が好きな人は鑑賞必須です。
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