daiyuuki

とんぼのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

とんぼ(1988年製作のドラマ)
5.0
2年の刑期を終え、出所した暴力団八田組の若頭・小川英二(長渕剛)。しかし、出迎えに来たのは舎弟分の水戸常吉(哀川翔)だけだった。英二が服役中に、さまざまな問題が起きていた。妹・あずさ(仙道敦子)は勝手に大学を中退して喫茶店で働いていたり、恋人・夏実は英二が刑務所に入ってすぐに他の男と付き合っていた。また英二は刑務所の中で八田組のさまざまな裏事情を握っていた。英二の下克上を恐れた組長・八田昇(中野誠也)は英二を始末しようと企んでいた。そんな中、あずさの働く喫茶店のオーナー・波子(秋吉久美子)と出会い、最初は英二の頑固一徹な性格に反発しつつ、波子は英二に想いをよせていき、また英二も波子のことを気になりかけていた。
だが、英二の親友・鉄(石倉三郎)が組長の八田から英二を始末するように執拗に命令され、英二の恋人の波子のカフェに八田組の嫌がらせがあり、英二の妹のあずさのために堅気になることを決意した常吉が八田組のチンピラに瀕死の重傷を負わされ、怒りが頂点に達した英二は八田組に殴り込む。
脚本の黒土三男と長渕剛が、ことなかれ主義で利益のために裏切りが罷り通る世の中に対する怒りを込めたヒューマンドラマ。小川英二は、日常生活全てにこだわりを持ち、舎弟の常吉や妹のあずさにこだわりを押し付ける欠点はあるが、愛する者に対する深い愛がある。小川英二と英二の親代わりの松次郎(植木等)の親子関係、英二とあずさと常吉の強い絆、英二と鉄の男の友情、しっかりヒューマンドラマが軸にあるから、英二と八田組の抗争がリアルに感じられる。
他人に対する無関心や痛みを想像出来ない不感症ぶりを小川英二が批判するシーンも痛快な異色なヒューマンドラマ。