あまね

メゾン・ド・ポリスのあまねのネタバレレビュー・内容・結末

メゾン・ド・ポリス(2019年製作のドラマ)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

退職警官で一癖も二癖もある「おじさん」たちが住むシェアハウス、メゾン・ド・ポリス。新人刑事の牧野ひよりはこのシェアハウスと関わることになり、おじさんたちに振り回されながらも共に事件を解決していく。
彼らに揉まれてひよりが刑事として成長していく中で、彼女の過去に関わる大きな事件も明らかになっていき――。

一話完結の物語と全編を通して流れる物語の二つの流れがある。
毎回事件を解決しつつ、その背景でひよりの過去に絡む事件の謎が少しずつ明らかになっていくというものだ。
そのため、序盤はかなりコミカルに進むが、後半につれてシリアス色が強くなっていく。
とはいえ、あくまでもエンタメに振り切った作品であり、謎解き色や鬱展開といった要素は薄い。
どちらかと言えば、伏線回収や王道の見せ場を畳みかけていきながら場を盛り上げていくという演出だ。

後半、警察内部に潜む悪と対峙していく流れになるのだが、この部分が特にエンタメに振り切っていた印象が強い。
何年追い続けても尻尾を掴ませない黒幕、内偵も数年単位で入っているそんな黒幕が、一話も使わずに明らかになってしまうのだ。
「皆で黒幕を突き止め、戦おう!」で終わった次の話の冒頭には、今まで影も形もなかった黒幕の存在が明らかになっており、既に調査が開始されている。
そんなに簡単にわかる上に、仕掛けられるのなら、何年も内偵する必要なかったんじゃない⁈ とか、元警視副総監が天下りまでして調査しても何もつかめなかったとか噓でしょ⁈と呆然とする。
ただ、その後の流れを見ていると、そういう黒幕に至るまでのあれやこれやはこの物語が語りたいものではないのだなということがはっきりと分かった。
「そこに至るまでの謎解き」ではなく、「そのシチュエーションにおける美味しい展開を次々と見せる」ことが目的なんだろうと、個人的に感じたのだ。
伏線を回収し、「巨悪と対峙する」際のお約束の展開が、これでもかと畳みかけられる。
リアリティさはないけれど、キャラクターの個性とシチュエーションのおいしさはしっかり感じられる。なるほど、そういうドラマなのかと思った。
好き嫌いは分かれるかもしれない。

また、ところどころに独特な演出が見られた。
あまりにも凄惨な事件に関しては、非常にコミカルなデフォルメ化した表現を行っている。
人が燃える場面、殴られる場面などについては、アニメ的な画面の演出を行い、露骨に表現することを避けていた。
事件モノではあるがショッキングな表現が苦手な方は、安心して良いと思う。
ただ、そういった表現が苦手な人(ふざけているように感じてしまう、臨場感が無いなど)にとっては、苦手な演出かもしれない。

登場人物はどれも個性的で、シェアハウスのおじさん達は非常にコミカルながらも頼もしいプロフェッショナル。ほっこりしたり、泣かせてきたり、ひよりとの関わり方に眦が下がる。
父と娘のようであり、上司と部下のようであり、信頼のおける友人のようでもあるおじさん達とひよりの関係に、ホッと心が温まる。
恋愛要素はなく、家族要素が高い。

ひよりのキャラクターがとても可愛く、清々しかった。
どんな時、どんな相手でも、ぴしっと背筋を伸ばしてきっちり頭を下げて「すみませんでした!」 その警察官らしい、そして彼女の性格だろう所作がすごく気持ちよく、潔さに心が和んだ。

総じて、キャラクターとシチュエーションを楽しむドラマだという印象だった。元警官のおじさん達と、娘のような新人刑事。その疑似家族のような関係。そして、家族のようなメンバーと警察内部の黒幕との戦い。
この辺りのキャラクターやシチュエーションに興味をそそられる人は、きっと楽しめると思う。