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トリハダの消費者のレビュー・感想・評価

トリハダ(2007年製作のドラマ)
3.2
・ジャンル
ホラー/オムニバス

・あらすじ
両親が旅行へ出掛けて、1人留守番中の少女イズミは砂嵐と共に始まった謎のテレビ番組を見始める
そこで描かれていたのは日常に潜む恐怖を煽る奇妙な短編ドラマの数々
不穏な物を感じながらも彼女は友人クミと電話しながら番組を観続けるのだが…

・感想
心霊やオカルト、ジャンプスケアに頼らないストロングスタイルな作風でお馴染みの有名シリーズの1作目
第一話「気づいた時が恐怖のはじまり」
第二話「未知と知のはざまの葛藤」
第三話「愛もしくは憎悪に関する記録」
第四話「想像は人を支配する」
第五話「常に起こりえる監視のカタチ」
第六話「そこにある欲望と衝動の闇」
第七話「余命診断」
の計7話で構成されている

心霊、オカルトに頼らずジャンプスケアも用いないという事自体は確かに間違いではなかったもののいかんせん期待し過ぎたかなぁというのが正直な印象
シリーズ1作目なのでまだ世界観が固まりきっていなかった可能性もあるけど…
まぁそのへんは次作以降に期待かな

インタールード的な役割を果たすサイドストーリーが最後のエピソードに繋がる構成
不可解な人的脅威に日常が蝕まれる恐怖という一貫したテーマ
そういった部分は悪くなかったんだけどいかんせん1つ1つの内容が力技的で弱い
敢えて説明しないのはホラーとして大正解なだけに肝心の恐怖がインパクトに欠けているのはどうしても惜しく感じる
ヒトコワにこだわるなら実現可能な恐怖体験である事も徹底して欲しかったし…

そんな中で好みだったエピソードは第三話「愛もしくは憎悪に関する記録」と第四話「想像は人を支配する」の2つ
前者はどう追跡していたのかという謎は残るものの赤い服の女の心理を語らずに解釈させつつ胸糞に落とし込む展開が綺麗だった
後者は最も生々しく壁の薄い安アパートというどこにでもある舞台を最大限に活かし「世にも奇妙な物語」的な大オチでゾワッとさせてくる手法が見事
その為のエピソードは割とベタな内容
それでも良かった点は人間の恐怖の本質は分からない物である、というホラーの根源的な部分をブレさせていなかった事
怪異や心霊、オカルトを題材にしている作品だと説明的過ぎる作品が割と多いだけにコンセプトだけでなくそういう部分でも差別化していたのは素晴らしかった

あと話自体はともかく第七話「余命診断」のラストに明らかになる真実は裏切り方として面白かった
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