山岡

新スタートレック シーズン1の山岡のレビュー・感想・評価

新スタートレック シーズン1(1987年製作のドラマ)
3.6
『宇宙大作戦』(TOS)→『まんが宇宙大作戦』→劇場版I〜Ⅵ の順に見て、遂に『新スタートレック』(TNG)に到達。方々のサイトで「面白くなるのはシーズン3から!」と書かれていたので元々余り期待していなかったが、確かに、いまいちなシーズンだった。

まず、どのエピソードもシナリオが面白味に欠ける…基本的には1話の中で2つの物語を同時並行で語ることが多いのだが、その2つがうまくリンクしていない、あるいは1つの物語は面白いがもう1つの出来の悪い物語がそれを邪魔していたり…エピソードごとの出来に大きなムラがあるTOSよりは安定している気がするが、TOSがシーズン1の時点で「タロス星の幻怪人」「クリンゴン帝国の侵略」などの傑作エピソードをものにしていたのに対し、TNGシーズン1ではそれらに匹敵するような印象のエピソードは無かったように思える。

もちろん、良い面、面白い点は沢山ある。映像はTOSの時代から比べ物にならないくらいブラッシュアップされており、ハリボテ感は全く無い。メインキャラ3人に的を絞っていたTOSと比べて多くのキャラクターにスポットが当たっており、ストーリーのバリエーションも多いように思える。そして何より続編としての魅力がある。TOSと連続する部分とTOS時代から変化した部分を味わうだけでも十分に楽しい。

個人的ベストエピソードはEP5「宇宙の果てから来た男」だ。まず、人知を超えた場所から来た旅人という設定がとてもロマンティック。そして旅人が子供のウェスリーと奇妙な友情を結んでいるのもグッとくるものがあった。ウェスリーがクルーとして認められるきっかけとなる重要回でもある。

いわゆる傑作回ではないがEP7「神からの警告」も非常に印象的だった。イドの人々の紙ペラのような布を見に纏った間抜けだが妙に色っぽいルックスの衣装。彼らの非生産的で享楽的な暮らしぶり…そういえば性の匂いが極端に薄かったTOSに対し、TNGになって急に性への言及が増えた気がする。極刑への恐怖に怯える平和か、それとも人間の理性を信じたリスクある平和か…面白い議論が有耶無耶のまま終わってしまったのは悔しいところ。

もう一つ印象に残ったのがEP16「死に急ぐ惑星 アルデア」。これは完全にトリビアの範疇だが、子孫を残せない身体のためエンタープライズから子供を盗む女を『デスパレートな妻たち』のメアリー・アリス・ヤング役で有名なブレンダ・ストロングが演じている。『デスパレートな妻たち』のネタバレとなるため詳細は伏せるが、このキャラクターをブレンダ・ストロングが演じることに因果を感じた…。

つまらなくは無いが、かなり地味な印象のシーズン1。スタートレックシリーズ入門にはTOSではなくTNGがおすすめという記事をよく見るが、いきなりこのシーズンからスタートレックに入った人は興味を持てずに見るのをやめてしまうのでは…?と少し不安になった。

とにかく、各キャラクターのことを少しずつ好きになってきてるし、シーズン3からは面白いらしいので今後も見続けていくつもりだ。
山岡

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