ブラックユーモアホフマン

ワンダヴィジョンのブラックユーモアホフマンのネタバレレビュー・内容・結末

ワンダヴィジョン(2021年製作のドラマ)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

【第一話】
面白え〜。かっけえ〜。
そして既にちょっと切ない。

確かに奥様が魔女で旦那がロボットって、シットコムみたいな設定だもんな。しかも映画館ではなく、配信というプラットフォームにぴったり。

しかも主演は「フレンズ」のオルセン姉妹を姉に持つエリザベス・オルセンという狙い済ましたかのような必然性。

ハートさん役のフレッド・メラメッドってどこかで見たことあるなと思ったら、S・クレイグ・ザラー組皆勤俳優だったのか。何の役だったか覚えてないけど確かに出てた気がする。(『ブルータル・ジャスティス』は思い出したぞ。銀行の店長だ。)

音楽が、スコア:クリストフ・ベック、歌:ロペス夫妻の「アナ雪」布陣。
だし、クリストフ・ベックはMCU的には『アントマン』シリーズを担当。
そこにも必然性がありそう…?

8/17追記:
最終話まで観て早速また改めて観直してるけど、この後ああなることを知って見るとすでに超面白い。一話ってこんなにちゃんとシットコムだったんだ。

でもアグネスだけがワンダに操られてなかったんだとしたら、なんでこんなにシットコムの役を完璧に演じられるんだろう笑
もしくはアグネスがワンダを騙しているのか?でもシットコムにしたのはワンダだしな。

あと、こんなに楽しそうだから、ワンダとヴィジョン以外の町の住人たちもシットコムを演じられて楽しかったと嘘でも言って欲しいところだな笑 本当は辛くて仕方なかったなんて悲しい。皆がワンダの辛さを共有して辛くなってたなら、ワンダの気持ちをもっと汲んで同情してくれてもいいのに。

【第二話】
違和感の入れ方が上手いなー。
ちょっとずつ段階を踏んでいくバランス感覚が見事。

スカーレット・ウィッチとしてではないエリザベス・オルセンがとても素敵。

8/17追記:
やっぱシットコムのはずなのに何かヘンだぞっていうこの序盤が一番面白いかもな。

あとアグネスはどこでどうワンダに目をつけて、いつからこのシットコム世界に入り込んだのかが謎だな。そこは説明して欲しかった。

そうか、最終話でヴィジョンとヴィジョンが話し合う図書館はこの話で出てきたところか。

書き忘れたけど、ビーチ・ボーイズかかるの最高だよね。

各話のCMに出てきた男女が実際のウェストビューではどんな人だったのか知りたかったな。

出し物でステッキ持って踊ってる人は『メリー・ポピンズ』のスーパーカラフリジリスティックエクスピアリドーシャスのバート=ディック・ヴァン・ダイクのオマージュだな。

ポール・ベタニーは完全に新境地を見せたと思うので、これからきっとコメディの仕事増えるぞ。

【第三話】
『トゥルーマン・ショー』みが強いよね。
あとやっぱ「ストレンジャー・シングス」っぽくもある。
掃除機が勝手に動いてるのは「テレタビーズ」を思い出したな。
『ゲット・アウト』みたいな感じもする。
観てないけど『ビバリウム』ってどうなんだろう。

ポール・ベタニーのシットコム演技もキュート。

そう考えるとワンダってすごい辛い経験を沢山してきたんだなと思うよね。
両親をスターク・インダストリーズの兵器に殺され、弟もウルトロンに殺され、そしてヴィジョンもサノスに殺され。
エンドゲーム後、一番トラウマのケアが必要なのは、確かにワンダかもなあ。

【第四話】
おお〜ようやくMCUらしくなった。
画面もいよいよシネスコ。

『キャプテン・マーベル』『アントマン&ワスプ』『マイティ・ソー』のキャラクターが登場。余すことなく使うアイデア料理的イズムがさすがのMCU。
ダーシーにいたってはダーク・ワールド以来8年ぶりの再登場。確かにダーシーは今後全く出ないのは勿体ないキャラクターだった。

面白え〜。MCUでシットコムやろうぜ!を正当化しちゃうアイデアの巧みさ、面白さ。そして泣ける。指パッチンという謂わば未曾有の大災害後の世界で傷を負った者たちが立ち直ることができるか、という作品で、エンドゲームやファー・フロム・ホームからもテーマ的に繋がっている。

消えてしまった町、ウエストビューは『ビッグ・フィッシュ』の裸足の町を思い出したりした。

【第五話】
そうかまだワンダはMCU内でスカーレット・ウィッチとは呼ばれてないのか。

しかしシットコム世界の中のエリザベス・オルセンとポール・ベタニーがステキすぎる。だからこそ、後の展開を考えると切なくもある。この世界が永遠に続いたらいいのにと俺も思うよ、ワンダ。

エイジ・オブ・ウルトロンで発揮してたアレを町規模でやってるってことかー。すげえ力。そしてハウス・オブ・Mか……。

もちろん映画規模のSFアクションも面白いんだけど、ドラマシリーズ規模の小さなSF=「少し不思議」こそがマーベル・コミックスの持つ特有の面白さな気もする。アイデアの面白さ。それをやるには映画じゃスケールがデカすぎるのかも。

外部からウエストビュー内部に働きかけたことも上手くシットコム的なストーリーに回収していっちゃうのもすごい。本当に上手い脚本。

そしてついに!!と言うべきか、早速!!と言うべきか、FOX買収の影響が!!いきなりX-MEN出しちゃうとかじゃなくて、ドラマシリーズで1キャストだけから出すっていうのが粋だし、超賢すぎる。すごすぎマーベル。

【第六話】
正直、エヴァン・ピーターズがクイックシルバーとして出てくるのは知っちゃってたんだけど、こんなにガッツリ登場するとは思わなかった。エヴァン・ピーターズも鼻が高いだろうなぁ、自分がFOXとMARVELのそれぞれのシネマティック・ユニバースを繋ぐ記念碑的キャラクターを演じられて。

トミーが言う「Kick ass!」(「モチだぜ!」と訳されてた)ってセリフは、2人のクイックシルバー、エヴァン・ピーターズとアーロン・テイラー=ジョンソンの両方が『キック・アス』にも出てるから出てきたセリフのような気がする。
(IMDbによると、狙ったわけじゃなく全く偶然との監督の談らしい。本当かよ!?)

さらにワンダとヴィジョンのそれぞれの古いデザインのコスチュームまで活かすなんて。なんて気が利いてるんだ。

てかビリー役の子、「ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス」とか『カラー・アウト・オブ・スペース -遭遇-』のあの子じゃん。メガネかけてないから分からなかった。彼は、プロフェッサーX的な特集能力があるのかな。

映画館でやってる映画が『Mr.インクレディブル』なのはやっぱり、”足の速い弟”が出てくるからなのか?
『ファミリー・ゲーム/双子の天使』は双子だからか。どっちもディズニー映画だ。

【第七話】
いやーやっぱ面白いなー。
こんな佳境に差し掛かっても尚、あくまでシットコムの(歴史を追う)体裁を崩さない。すごい。

モニカがスーパーパワーを得るくだりは『キャプテン・マーベル』のあの立ち上がるシーンっぽかった。過去の色んな人たちの声が聞こえて。意図的な演出な気がする。

キャスリン・ハーンはさすがにコメディ俳優だなあ。この時代のシットコムに特によくハマってた気がする。『ワンダーウーマン1984』でのクリステン・ウィグ的なキャスティング。

アスペクト比の変化もここで上手く演出に使ってきたなあ。積み重ねで、どっちがリアルでどっちがテレビ放送か、観客に理解させておいての、これよ。上手いねえ。

シビル・ウォーあたりからヴィジョンも徐々に人間っぽくなってきてたけど、こんなに人間らしいヴィジョンは現実世界じゃ見られなかっただろうから、それが見られるだけでもこのドラマの価値あるわ。

【第八話】
よくできてるよなあ〜。
CMから何から、この話で振り返るワンダの人生をなぞってるし、アグネス a.k.a アガサの人生要素もちゃんと散りばめられていたことに気づく。

マジ魔女っていうね。まあマジ雷神が出てくる世界観だからアリだよな。

このちょいホラーな演出は「エイジ・オブ・ウルトロン」から続くワンダ伝統の演出だし、「マルチバース・オブ・マッドネス」に直接繋がっていきそうだ。

ただ、アグネスの存在が果たして本当に必要だったかどうか……確かにシットコムに出てきがちな、やたら明るい隣人キャラが真の黒幕だったらっていう発想は面白いけど、その展開はワンダにとってのこのセラピーを促す為でしかないような感じがしてしまって、ちょっと冷めた。

セリフもちょいちょい説明的だな、わざとらしいなとは思ってたんだ。シットコムの中ならそれでいいんだけど。

「ストレンジャー・シングス」に似てるのは当然か。ワンダも実験施設で特集能力を与えられてしまった少女だったんだもんな。イレブンとカブるのは当然だ。

なるほど、マキシモフ姉弟には元々素質があったのか。しかも同じマインドストーンから力を得た者同士でもあるから、ヴィジョンと波長が合うところもあるのかもな。
今まで気にしたこともなかったMCUのディテールの細かさにも気づかされる。

セラピー映画ということで『ロケットマン』とか、現実が辛すぎて架空の世界に逃げ込んでしまう点も含めゼメキスの『マーウェン』なんかも思い出す。
TVシリーズ版「新世紀エヴァンゲリオン」の終盤を思い出したりもした。精神世界が撮影スタジオっていうのもまさに『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』。

【第九話】
スーパーファミリー集合の図は完全に『Mr.インクレディブル』。

ヴィジョン対ヴィジョンも面白いね。”テセウスの船”のくだりは「エイジ・オブ・ウルトロン」のラストのウルトロンとヴィジョンの対話を思い出すシーン。
人間がヴィジョンを制御しようなどという考えは全くおこがましかったわけだ。なんせムジョルニアが持てる男よ。ほぼ神だから。

白ヴィジョンは、「エイジ・オブ・ウルトロン」のアイアン・レギオンに似たデザイン。あとリドリー・スコット『プロメテウス』のエンジニア感。
ん〜やっぱマーベルで本当に死ぬのはベンおじさんだけだね。この調子だとナターシャとトニーも生き返りかねないぞ。

ふと思ったけど、ワンダとX-MENのジーンってどっちが強いんだろ。それも実現しそうだなMCU。

いい最終回だったねー。でもワンダ、モニカにだけではなく普通に町の人たちにもちゃんと謝った方がいいと思うよ。大人として。それはマジで。

ポストクレジット。モニカは何かしらパワーを得たっぽかったので『キャプテン・マーベル』の続編『ザ・マーベルズ』に繋がるのかなと思ったけど、この感じだとその前に「シークレット・インベージョン」か!楽しみだなあ〜。でも量多すぎ。追いつくの大変すぎ。