こたつむり

ストロベリーナイト アフター・ザ・インビジブルレインのこたつむりのレビュー・感想・評価

4.0
『ストロベリーナイト』劇場版の後日譚。
1本20分前後と短いので、物語として単調だったり、説明調の台詞が多かったり…肩が下がる部分は多いのですが、劇場版を観たのなら押さえておくべき短編集です。

《東京》
菊田の過去を描いた物語。
劇場版における彼の立ち位置はツラいものでしたからね。それをフォローするために最初に配置されたのでしょう。彼の真っすぐさは白い雲みたい。心を洗うように臨むのが吉です。

《沈黙怨嗟 / サイレントマーダー》
続いて葉山(ノリ)が主人公の物語。
姫川玲子を認めていなかった彼なのに、気付けば姫川班の“志”を最も引き継いでいるように見えるのは頬が弛みますね。ただ、終盤に畳みかけたセリフは微妙なところ。勿論、彼が悪いんじゃないんです。尺が足りないだけなんです。

《アンダーカヴァー》
主人公である姫川玲子の物語は中盤に配置。
ヒーローを通俗的な価値観で捉えてはならない…とは偉い人の言葉ですが、彼女も同様なのでしょう。確実に“異能の人”だと思います。だから、彼女は変わりません。どんな形でも自分の正義を追求する…それだけが傷を忘れる手段だと思っているのでしょう。うーん。でも、好きになれません。これがアニメやマンガならば良いんですけどね。実写だと微妙です。

《左だけ見た場合》
本編の終盤で男を上げた日下主任の物語。
演じたのが遠藤憲一さんだから誤解されるだけで、有能かつ懐が広い人ですよね。上司としては微妙ですが。あと、本作で気になったのは消費税の扱い。消費税が切り替わる時は“契約時点の率が適用”されるんだと思いますが…。

《推定有罪 / プロバブリィギルティ》
最後を締めるのはガンテツ(勝俣主任)。
とてもシニカルな着地点ですが、とても『ストロベリーナイト』っぽい締めだと思います。一応、他のエピソードとも少しずつリンクしているのが心憎い演出。また、本編を観ていた人だけに分かる配役も。出来ることならば、この続きも観てみたかったですね。それは願っても叶わない話なんですが…。
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