EDDIE

サーヴァント ターナー家の子守 シーズン1のEDDIEのレビュー・感想・評価

4.4
悍ましいほどに謎が謎を呼ぶ構成がクセになる。M・ナイト・シャマランらしさが満載な一つ屋根の下の奇妙な物語。シーズン2もすぐ観なきゃ!

いやはやAppleTV+のドラマ、今のところハズレなしですよ。
『ザ・モーニング・ショー』は別格な面白さだったんですが、本作はシャマラン好きにはたまらない内容なんじゃないかなと。

まぁ映画では作品を生み出すたびに賛否両論分かれる監督ではありますが、この『サーヴァント』はヤバいですよ。
エピソードが進むにつれて謎が深まっていくんです。

第1話とシーズン1最終話の第10話は至高の出来です。これらはシャマラン自ら監督しているようですね。
とにかく第1話は作品に惹きつけるのに最高の終わり方だし、最終話はシーズン2観たくなるような仕掛けが絶妙です。

個人的にはヨルゴス・ランティモス監督の『聖なる鹿殺し』を彷彿とさせる作品です。『聖なる〜』が好きな人にはハマりそう。

この作品の巧さは、主要人物3人の視点で描く部分にあります。
あらすじとして、とある事故により赤ん坊の息子を亡くした夫婦は、新生児人形(リボーンドール)をセラピーとして育てていたんですね。
そこで雇ったベビーシッターのリアンがやってきてから奇妙な出来事が巻き起こるという一連の流れです。

まぁ新生児人形ってなんだよって感じなんですけど、第1話の時点では明らかにベビーシッターのリアンが怪しいんです。
だけど、夫婦のドロシーとショーンそれぞれにくわえ、リアンの視点もくわわることで、物語の行方がどこに向かっているのか鑑賞者側はわけがわからなくなります。
この謎が重なっていく模様がクセになり、続きが気になって仕方がなくなります。

というか全話通じて物語のクライマックスに驚く展開が用意されていて、どれだけ予想外の伏線を用意してるんだと。

また音の演出が絶妙に不気味でいいですね。
おそらく“生”をテーマに描いているのですが、生きた赤ん坊を育てることで“生”を確かに感じる瞬間がありながら、夫ショーンの料理家という職業を活かし、作中たくさんの生物が料理されるシーンを見せられます。
本来であれば「美味しそう」と感じるあんな食材やこんな食材が、音の演出と映像の不気味さが重なり、とんでもなく気持ち悪く見えます。

ひとまず本作きっかけでしばらくウナギやフグは喉を通りそうにありません。

またキャストも決してスターどころを起用しているわけではないんですが、映画好きのツボをついてくるキャスティングがたまりません。
主人公の1人妻のドロシー役はローレン・アンブローズという方であまり存じ上げないんですが、夫ショーン役は『ファンタスティック・フォー』や『キングコング:髑髏島の巨神』に出演のトビー・ケベルが演じます。
リアン役のネル・タイガー・フリーは『ゲーム・オブ・スローンズ』に出演していたそう。イギリス出身の美人ですが、何を考えているのかわからない不気味さと謎を纏った雰囲気作りはとても上手かったです。

ドロシーの弟ジュリアン役はなんと『ハリーポッター』シリーズのロン役でお馴染みのルパート・グリント!
こんなに深みある演技ができるようになったなんて…。個人的に本作では特に存在感を放っています。
ショーンのアシスタントのシェフ、トビー役はトムホ版『スパイダーマン』シリーズでフラッシュ役のトニー・レヴォロリです。『スパイダーマン』とは全く異なる役柄で結構重要な役回りでもあります。

ほかにも謎を呼ぶ不気味な登場人物がいるわけですが、これ以上書くと止まらなくなりそうなのでこのあたりで止めておきます。

1話あたり30分程度と見やすいのもポイントです。一気見しようと思えば全然いける良作。
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