こたつむり

MIU404のこたつむりのレビュー・感想・評価

MIU404(2020年製作のドラマ)
4.0
★ 僕は弱いから 簡単に傷ついて壊れるから
  君を助けるよ 簡単に傷ついて壊れる君を

『アンナチュラル』と同じ世界観と伺って鑑賞。時折、ゲストとして登場するのが心憎い演出ですね。坂本さんが痛いキャラクター(職場でぬいぐるみを所持して、それに語り掛ける)になった気もしますが…ま、いいか。

基本的に一話完結型の構成。
クライマックスに向けた伏線も『アンナチュラル』よりは計算された印象が薄く、世間の事情(コロナ禍が起きている中での撮影)に振り回された感は否めません。

でも、それが悪いわけではなく。
現代社会の問題に忖度なく切り込み(テレビに否定的な意見もアリ)各話ごとに“泣きのポイント”を用意。

だから、毎回が“神回”なんですよね。
個人的には第4話(そう言えば『アンナチュラル』も4話から加速しましたね)から第6話まで、そして第8話。このあたりで涙腺が崩壊しました。

それに説教が説教臭くないのも見事な限り。
特に志摩が九重に語る“ピタゴラスイッチ”論は分かりやすく。我が物顔で流布される「自己責任論」に楔を打つ話として拝聴しました。

そして、それを活かすのが綾野剛さんの笑顔。
曲者ばかりを演じてきた印象が強かったので(本作も曲者ですが)軽薄だけど自分に正直な“いい奴”がとても新鮮。思わず“きゅるっ”としちゃいましたよ。

また、他の登場人物たちも魅力たっぷり。
個人的に推したいのは、麻生久美子さん演じる桔梗隊長…の息子である《ゆたか》くん。たぶん小学一年生。優等生のような子役を起用せず、悪戯坊主っぽい番家天嵩くんを選択したのが自然で良いですね。リアルに成長しているのが親目線でググッと来ちゃいます。

まあ、そんなわけで。
喜怒哀楽を見事に突いた刑事ドラマ。
各方面に配慮が必要になった昨今、ズバッと切り込む筆致が気持ち良く、更にはコロナ過で気が滅入る中で“前を向く”気持ちを抱かせてくれる素敵な仕上がりでした。
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