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令嬢アンナの真実のMayoのレビュー・感想・評価

令嬢アンナの真実(2022年製作のドラマ)
4.0
Netflixのリミテッドシリーズは本当に良作が多くて好きです。

詐欺疑惑で逮捕された令嬢アンナ・デルヴェイが一体何者だったのか?というのを記者・ヴィヴィアン・ケントが探っていくストーリー。
ヴィヴィアンが真実を追う現在と、アンナが捕まるまでの過去の2つが描かれていくんだけど、過去の部分も時系列通りに進んでいき最終回で逮捕されるところに行き着くのでとても分かりやすかった。
あと、ヴィヴィアンが想像する過去、という描き方もできたと思うし最初はそうかな?と思っていたんだけど、過去の部分はそれはそれで淡々と進んでいて、アンナが実際どう思っていたのか?とか、アンナが何かを企んでいる様子みたいなのは特に描かれないから、見ている方もこの人が本当に詐欺師なのかどうかよくわからないまま話が進んでいく。

アンナとヴィヴィアン、二人の対比が面白い。
アンナを演じるのはジュリア・ガーナー。この人が演じる役っていつも好きになれないんだけど、苦手な俳優さんからすっかり好きな俳優になった!
ヴィヴィアンを演じるアンナ・クラムスキーは、アンナに比べて表情豊かで顔の筋肉動かしまくって喋るので、その違いが途中からすごく面白くなりこんな対比の仕方もあるのか、と感心した。

ヴィヴィアンが妊娠しているというのも興味深い設定(というか実話で本当に妊娠してたらしいけど)で、出産というリミットに記事の締め切りも重なり追い込まれていくヴィヴィアンが、記事を書き上げてそのまま破水して夫に抱えられながら病院に向かうシーンが最高に痛快だった。

アンナが友人に購入を薦める写真家の話や、女性クラブの話など、フェミニスト的な要素もあり、アンナという人に次第に共感していってしまう。「女だから見くびられている」と焦るシーンもあって、詐欺師じゃなくて女性起業家の話?と思うくらい。

周りを固める人たちもみんな魅力的で、ヴィヴィアンの夫と、アンナの友人・ネフが好き。
過去に失敗をしてしまって会社の中で隅に追いやられているヴィヴィアン。その周りに座っているおじさん・おばさん記者が手伝ってくれるくだりも大好き。女子トイレに入ってきて作戦会議したり。
「女性記者に失敗は許されない」って女性の先輩が言ってくれるシーンはぐっときたし、自分の失敗についてヴィヴィアンが気持ちを吐露するのが夫ではなく、アンナの弁護士の人、というのもなんかリアルで、周りのキャラクターの使い方が非常に良いと思った。

最後から2話目でロシアに行き、最終回で裁判。
過去部分もやっと冒頭の時期に追いつく、という構成がシンプルなようでとても面白く感じた。

まぁ結局アンナはなんだったの?っていうのはよく分からないんだけど、これ全部実話だというからすごい。Instagramで検索すると本当に出てくる。
最後の劇中のキャラクターと実際の人たちを同時に紹介するところが楽しすぎて、ラスト2分でさらに気持ちが高揚した。
ヴィヴィアンのモデルとなった記者のジェシカ・プレスラーは、アンナ・デルヴェイの記事を書く前に、映画「ハスラーズ」の元ネタとなる記事も書いていた方だと知って驚き!
こんな風にジャーナリストの記事から映画ができるなんて。しかも2つとも女性のパワーを描いている。

また面白いリミテッドシリーズに出会いたい!
Mayo

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