山岡

アップロード~デジタルなあの世へようこそ~ シーズン1の山岡のレビュー・感想・評価

3.8
過度に資本主義的な架空の天国を構築し、その中で暮らす人々をコミカルに描くことで、人の死生観や現実の諸問題を浮き彫りにする『グッド・プレイス』のフォロワー的作品。よくできた理想的な架空世界が人によってコントロールされている、それによるトラブル、現実世界の人々と架空世界の人々の奇妙な関係などは『ウエストワールド』からの影響を受けていないとはいえないだろう。さらに唐突にインサートされる絶妙に笑えるけど笑えないバランスのゴア描写からは同じamazon オリジナル『ザ・ボーイズ』と似たテイストを感じる。これらの先行の人気作品が持っていた面白さを引き継ぎつつも、本作を唯一無二の作品たらしめているのは間違いなく、主人公とエンジェルのラブロマンスである。これだけ複雑な要素が絡み合ってるとストーリーが理解し難いものになったり、とっ散らかった印象になりかねないが、少女漫画のような2人のあまりにシンプルで純粋なロマンスが米ドラマの中では非常に新鮮に写った。特にヒロインを演じたANDY ALLOはルックスやら所作がめちゃくちゃキュートで、これを機に色々な作品に引っ張りだことなること間違いなし(ただ、彼女が主人公を好きになる動機が大人のドラマにしては余りに薄過ぎるという問題はある)。恋愛とミステリー、コメディが絶妙に配置されたシーズン1は最後まで全く飽きずに見られたけど、あまりに唐突に2人の関係が変化してしまう最終話は次シーズンへのブリッジにしか見えず、正直めちゃくちゃつまらなかった。シーズン2でガタガタになる予感はあるが、シーズン1全体を見ると、かなりの良作といえる。
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