なっこ

人生最高の贈りもののなっこのレビュー・感想・評価

人生最高の贈りもの(2021年製作のドラマ)
3.0
/ストーリー/ (テレビ東京HPより)

東京・豊島区。鬼子母神堂の裏手に佇む小さな洋館に、元大学講師の翻訳家・笹井亮介(寺尾聰)は暮らしている。妻に先立たれ一人暮らしとなった今は、家事も料理も完璧にこなすが、仕事は自由奔放。〆切を守らない亮介に、担当編集者・野村(勝地涼)はいつも隣で頭を抱えていた。さらに近所に住む原口光代(キムラ緑子)は、亡き妻から「主人をよろしく」と頼まれたのを口実に、毎日勝手に家に上がり込んでいる。
一方、亮介の一人娘・ゆり子(石原さとみ)は、長野県安曇野ののどかな町で、亮介の元教え子で教師の夫・田渕繁行(向井理)と暮らしていた。ところがある日、ゆり子が父のもとに帰ってくる。連絡もなく突然の帰省に驚く亮介は理由を尋ねるが、ゆり子は一切語ろうとしない。わかったのは家にいる期間を決めていないということだけだった。これまで「父と娘」の会話をろくにしてこなかったため、二人の間にはぎこちない雰囲気が漂う。こうして始まった父と娘の2人暮らし。緊張しつつも温かく穏やかに過ぎていくが…実は娘の人生に残された時間はわずかだった。娘が胸に秘めていた決意とは?そしてそんな思いを知った時、父は・・・。

/感想/

夫は彼女をファザコンだと言った。でも、私は違うと思う。

ただの似たもの父娘。不器用で強がりで肝心なことが言えない。
それでも少ない言葉で心の奥底が透けて見えてしまうときがある、親子だから。
しんどいとき、それでも一緒に居られるのは親子だから。分かり合えるのは親子だから。

ヒロインの生き方、自分の時間をどう過ごしていきたいのか、その選択に芯の強さと意思を感じる。そしてその選択を支え見守る夫の存在感。セリフも出番も少ないのにすごく素敵だった。父親、夫、実は受け止める側の男の行動力が問われるお話だったように思う。

物語の冒頭、説明が少ないところはとても良い。最近は説明過多なものが多い気がする。父親の職業も舞台となる土地も分からないまま突然嫁いだ娘が帰ってくる、しかもすぐに帰る様子はない、なんで?そんなミステリーを父親と一緒に体感してしまった。

先生と呼ばれるその人は翻訳家だった。彼の仕事部屋の壁一面の本棚が洋書で埋められていた。後半その様子が写り込んだ時、本当に素敵なお部屋だと思った。

父と娘って間に入ってくれる母親がいつも橋渡ししてくれるから、本音でぶつかり合う時間は人生でそんなにたくさんあるわけじゃない。大事な人ほど、身近にいるからこそ言えないままで抱えてる気持ちもあったりする。それをちゃんと言葉にすることの大切さを教わった。
暗いドラマかもしれない。そんなに順風満帆なヒロインじゃない。でも等身大で、すごく身近にいてくれそうなヒロインだ。だからこそ、私は力をもらった。私もがんばれって言われた気がした。
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