ゆうすけ

アイランドのゆうすけのネタバレレビュー・内容・結末

アイランド(2005年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

マイケル・ベイ監督の近未来SF作品(と言っても舞台は2019年で、すでに過ぎているので、近未来ではない)。

設定は以下の通り。
地球の大気は汚染され、生き残った人々は、徹底管理のゆき届いたハイテクなコロニーで暮らしていた。ここに暮らす全ての住人の夢は、唯一汚染を免れた自然豊かな美しい島「アイランド」に移住すること。しかし、誰でもアイランドへ行けるわけではなく、コロニーでは毎日抽選が行われ、運よく当選した人物だけがアイランド行きを許されるのだった。(Wikipediaより)

物語序盤は、白い服を着た人が施設に何人もいて、まさに近未来的な装い。マイケル・ベイらしくないなーと思っていました。
しかし、こういう設定では組織側が何か秘密があって、よくないことをしていることは常なので、この作品も例に漏れずそうなのです。
主人公たちが脱出した後は、カーチェイスは勿論、大爆発や大破壊が起きていつものマイケル・ベイ節に。
本作では、彼らは代理出産だったり臓器提供だったり、大金を払ったクライアントの目的を果たすために作られたクローンで、彼らの記憶などは刷り込まれた偽物の記憶なのです。ただ体をコピーするだけでは臓器は育たないようで、面倒なことに記憶や感情も必要。結果的に、主人公リンカーンのような反抗的な存在が出てくることは止められなかったでしょう。
映画『メイズ・ランナー』シリーズや、漫画『約束のネバーランド』、小説『わたしを離さないで』などが想起される内容でした。

ストーリーは意外としっかり作られていて、一番冒頭でリンカーンが見る映像は、記憶を埋め込まれたものとリンカーン本体の記憶が混在している状態であるという伏線が張られていたり、生きている虫が登場したり、未だに施設に入ってくる生存者がいたりなど、不可解な点が小出しにされます。これらは施設パートを非常にワクワクして楽しませてくれます。
そしてリンカーンが本体と会った際に入れ替わってしまう展開もよかったし、ジョーダンとキスとセックスをすることで、彼らが精神的に人間であることを示すのは巧妙ですね。

そしてラスト、施設を飛び出す白い服の人々。まるでリンカーンとジョーダンはアダムとイブ。その後、脈々と受け継がれる人類の誕生を思わせるような、聖書的なシーンでした。そこに黒人が極端に少ないこと、そして本作での黒人は所謂彼ら白人を助けるためだけに設置されたマジカル・ニグロ的な立ち回りでしか登場しないことが少し気になりました。
ゆうすけ

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