ゆうすけ

リバー、流れないでよのゆうすけのネタバレレビュー・内容・結末

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ヨーロッパ企画のオリジナル長編映画第2弾。前作『ドロステのはてで僕ら』(2020)では、2分後の未来が見えるモニターを巡るお話でしたが、本作は同じ2分間を繰り返すループものです。

舞台となるのは、京都の老舗旅館「貴船ふじや」。なんと、この旅館は主人公ミコトを演じた藤谷理子の実家。確かに、苗字がそのまま旅館の名前になっています。

構成がすごく良かったです。同じ2分間を繰り返すものの、記憶は持ち越される。2分間でやろうとしたことが終えられないと、次回に続きをやるのですが、これが少し窮屈で、フラストレーションが溜まったいい頃合いに、また何か新しいことが起きる。このテンポ感が非常に軽快で観ていて飽きないです。
メイキングを観ましたが、ちゃんと2分間を計って撮影しているので全部同じ2分間なのに、長く感じる時と短く感じる時があって、それもまた緩急があって良い。

そしてドタバタコメディ、恋愛、SFと様相が変わっていくのも良かったです。特に恋愛シークエンスは「次はどうやって逃げる?!」って、どうせ元に戻るのにわちゃわちゃ楽しそうにやってるのが観ていて微笑ましかったです。

時間がループし始めた理由が明かされる前、実はみんな時間が止まってほしいと考えていたというのが非常に示唆的でした。
このままずっとこの時間が続けば良いのにって思うこと誰にでもあるよなー。でも無情にも時間は過ぎ去ってしまう。変わらないものなんてないんだよな。良いことも悪いことも。

低予算の限定的なシチュエーションでの作品ですが、主人公の“初期位置”が地下の川岸に設定することで、まず階段を登るという上下の動作ができ、奥に直接通りに出る小さな階段もあって最初はずっと建物の階段を登ってましたが、途中からそっちに直接出るようになって、ここですごく開放感があるんですけど、そんな感じで非常に3次元的空間をしっかり活かせてるのも評価できるポイントだと思います。

ただ、これはヨーロッパ企画の味と言ったら聞こえはいいんですけど、やっぱずっと演劇くさいんですよね。特に演技が。ナチュラルな演技ではなくて、演劇独特のわかりやすいオーバーな演技というか。映画というものの深みがない。これは『ドロステ』でもそうでしたが。

あと若干気になったのは、ループの原因として、タイムパラドックスが起きないように一定時間タイムマシンが同じ場所に留まっているとループするようになってると説明がありましたが、記憶が維持されるならパラドックス普通に起きんじゃねとか思いましたね。
ゆうすけ

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