タスマニア

母性のタスマニアのレビュー・感想・評価

母性(2022年製作の映画)
3.5
2022年108本目。

想像よりセンセーショナルではなく、大人しめの着地だった。
多分、湊かなえ原作の映像作品「告白」を想像し過ぎてしまったのかも。

一方で、「母性」というタイトルに偽りのないメッセージが響く映画だった。しっかり「母性」について考えを改めさせられた。
清佳が「母性」を本能ではなく、後天的に身につく物であると言っていた。
ハッとさせられた。
自分は様々な映画やドラマといったコンテンツを通して「母性」という存在を神聖化してしまっていたかもしれない。
「Mother」というドラマを見たことをきっかけに、自分はある女性に "強烈な母性" が目覚めてしまうストーリーや展開が好きになった。
それも、大体が実際には子供がいない女性が。
暗に自分は本能的に備わっている物と思い込んでしまっていた。
生物学的に「母性」を論じるつもりはなく、"母親でいたい人間" と "娘でいたい人間" がいるという感覚を植え付けられた。
「この世に女は二種類しかいない。母親と娘である。」というセリフを、ルミ子と祖母の関係を見てきた清佳が総論するのはなんだか説得力があるなぁ。

あと、登場する母親がどれも個性強くて演技良かったなぁ。
高畑淳子最高だよ。まっすぐ不快な気持ちにさせてきやがる笑
大地真央は結構ストレートに愛情深い母親でびっくりした。
もっと癖強い母親かと思いきや。

途中までは登場人物に対して「優先順位が違うだろ!」と終始感じる展開だった。
けれども、その自分が思う "優先順位" の価値基準も「母性」(もしくは「父性」)の前提が自分の中にあったからこそだなぁ。
タスマニア

タスマニア