ひろるーく

母性のひろるーくのレビュー・感想・評価

母性(2022年製作の映画)
3.2
戸田恵梨香も永野芽郁も大好きな女優である。
共演の中村ゆりも好きだし、高畑淳子の(熱すぎる)演技も嫌いではない。山下リオの表情もいいし、大地真央も美しい。
原作の湊かなえも好きな作家だ。

これだけの女優を集め、湊かなえ原作の映画である以上、期待は相当大きかった。

しかし、退屈であった。

母親依存症のお嬢様るみこ(戸田恵梨香)は、それほど好きではなかった男田所(三浦誠己)と結婚する。理由は母親(大地真央)が田所の描いた「薔薇の絵」がものすごく気に入ったから。

母親が気に入った絵を描く男と交際が始まり、3回目のデートでプロポーズされ、結婚。

森の中の瀟洒な家でるみこは田所と新婚生活を始める。そして娘さやか(永野芽郁)が生まれる。

るみこは結婚後も母親への異常なまでの依存愛を見せる。
とにかく母親を悲しませてはいけない。母親にいい子であると思わせなければいけない。
るみこはそのために、娘さやかにまで母(さやかにとっては祖母)への殉愛を求める。

ある日夫田所の留守中に台風による落雷で大木が家の中に倒れる。
そして火事。このことにより母親(大地真央)が亡くなる。
夫田所、妻るみこ、娘さやかは、田所の実家に移り住む。

その家で、るみこは田所の母(高畑淳子)に嫁いびりをされる。
それでもるみこは「親を裏切ってはいけない」という強迫観念から、耐える(というか当たり前のこととして受け入れる)。


成長したさやかは正義感の強い娘になっていた。
「愛されるためには正しいことをしなければならない。喜ばれることをしなければならない」というるみこから受け継いだ意思を持った娘になっていた。

暑苦しいほど熱い高畑淳子と、無機質な戸田恵梨香と、正義の使者として成長を続ける永野芽郁と、家庭で起こっている異常性にまったく無関心をみせる三浦誠己で、その後、物語は淡々と進む。

田所(三浦雅美)の学生運動での挫折とか、なんかあまり物語の本質とちがうんじゃないかな話が散らばりながら(小説ではもっと意味があるんだろうけどね)、物語は終盤の「あのときの真実の話」につながっているというちょっとだけミステリーが入る。

んー。話は面白いし、原作はいいのよ。
でも映画は、僕はとても退屈でした。

廣木隆一監督作品は、僕、合わないんだと思います。
もちろん廣木隆一ファンはいるのでしょう。だからあれほど多作なんだと思います。

でも、今までもこの監督の作品で僕は、「いい」と思ったことがないんですよね。テンポが合わないのか、なんなのか。

あーわかった。いちいち映画が説明過剰なのかな。どうでもいいところを長く描き、大事なところを省く。
だからこの監督の作品で僕は印象に残るシーンがいつもないんですよね。

ほんと個人的な感想ですので、気分を害する方がいらっしゃったらごめんなさい。

あと、大好きな戸田恵梨香ですが、この映画ではミスキャストかなと思いました。

残念。
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