ひろるーく

ゴジラ-1.0のひろるーくのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.8
僕のまわりやSNSなどの印象だと、ゴジラに対する愛情が強い方は賛否両論であり、それ以外の方は概ね絶賛という印象ですね。
僕は昭和ゴジラから平成ゴジラ、ミレニアム以降すべてのゴジラに愛情をもっています。
たぶん全作品平均3回以上は観ていると思います。ゴジラ大好きです。

「シン・ゴジラ」という作品が登場してから、いわゆる怪獣側の都合で突然姿を現したり、人間側の都合で「うまいぐあいに」撃退できたりという映画的な言い訳ができにくくなりました。
ゴジラが誕生する経緯や、日本にのみ現れる特異性への帳尻合わせ、自衛隊を現憲法下で稼働させることの困難さ、そして人間の手で(極めて現実的に)「駆除」するにはどうしたらいいか?
こういったいわゆる「空想科学」への回答がシンゴジだったわけです。
僕らを都合よく無邪気に楽しませてくれた「空想科学」の世界が、崩れてしまったのです。

だから、ゴジラの新作といっても相当作りづらい現実があったと思います。

山崎貴監督は、僕は好きな監督ではありませんでした。
理由は、一度も映画として面白いと思った作品がなかったからです。
とはいっても、全部観たわけではないので、好き嫌いは言えますが、優れた監督かどうかはわかりません。好きではないというだけです。好きな作品が一つもないのです。

ですから、いくら好きなゴジラの新作といっても、「山崎貴かぁ…」であったことは否めません。

さて、観た感想ですが、点数の通りです。
この点数には理由があって、ゴジラが登場する「ゴジラパート」が4.3点。
敷島(神木隆之介)まわりの「ドラマパート」が3.3点。2で割って、3.8点です。

まあ、圧倒されるのはさすが山崎貴監督、VFXのすごさです。
こんなに近くでリアリティあるゴジラを観れたことは本当に素晴らしい。
東京上陸後、銀座で大暴れするあの時間はほんとうに鳥肌が立ちました。すごい。
ゴジラは怖い。実感できました。

ゴジラシーンの多くは、本当に素晴らしくて、間違いなくゴジラ史上No.1だと思います。
ここまで映像化できるんだ、とまじで感動しました。

で、問題は、「ドラマパート」です。
ゴジラ映画は当然ですが、作品すべてでゴジラが暴れているわけではなく、その多くは人間の物語、「ドラマパート」です。

この作品の時代設定は1945年から。
敗戦濃厚な日本軍の特攻隊パイロットである敷島(神木隆之介)は、特攻せずに日本に逃げ帰ったことをずっと悔いながら生きていきます。
そして終戦後、ばったり(本当に偶然)典子(浜辺美波)と出会います(朝ドラの「らんまん」コンビですね)。
この二人の顛末やらなにやらのドラマがとにかくつまらない。連れている赤ん坊のくだりやなんの警戒もなく同居する楽観性(これが戦後のどさくさというやつなのかはわかりませんが)。
ご近所の安藤サクラさんも、何もサクラさんでなくても…、と思いながら観てました。

内容は書きませんが、僕はこの「ドラマパート」がとにかく陳腐で内容が薄いと思いました。
まあ、ゴジラ映画なので、「ドラマパート」は添え物なのかもしれません。
でも、この映画、大きな視点で見ると敷島(神木隆之介)という人間の物語なんです。
主役はゴジラではなく、敷島です。
「逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ」のシンジのように振る舞い、生きていく敷島の物語なんです。

特攻隊でありながら坊主頭でもないこの青年に、僕はどうしても感情移入ができませんでした。
いや、神木隆之介は大好きなんですよ。この作品の敷島役が好きではないというだけです。

この映画は、最後に向かって「ドラマパート」で2回オチがあります。
そして「ゴジラパート」で1回オチがあります。
その「ドラマパート」の1つめ。敷島の活躍は僕は素晴らしいと思いました。
内容は書きませんけど。もう一つの方のオチは、まあ、つまらない。そんなことあるんかい…、ていう感じ。

「ゴジラパート」の方のオチは、ぜひ観てからのお楽しみで。これは素晴らしい。

というわけで、めちゃくちゃ楽しめたけど、不満点もけっこうあるよ。て感じかな。

でも、ほんとこれは僕の感想なので、感動する方もたくさんいると思います。
ぜひ、大きなスクリーンで、お楽しみください。
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